
今もっとも勢いのある弦楽四重奏団がクァルテット・インテグラ。8月にはTOPPANホールで弦楽四重奏の系譜をたどるシリーズ第2弾となる公演を開く。クァルテット・インテグラは2015年桐朋学園在学中に結成され、21年バルトーク国際コンクール弦楽四重奏部門で第1位、22年ARDミュンヘン国際音楽コンクール弦楽四重奏部門で第2位と聴衆賞を受賞して大きな注目を集めた。メンバーはヴァイオリンの三澤響果と菊野凜太郎、ヴィオラの山本一輝、チェロのパク・イェウン。24年3月よりパク・イェウンをメンバーに迎えて、新たなステップを踏み出した。
今回のプログラムはバルトークの弦楽四重奏曲第2番、ヤナーチェクの弦楽四重奏曲第1番「クロイツェル・ソナタ」、ベルクの「抒情組曲」。意欲的なプログラムが好まれるTOPPANホールにふさわしく、1910年代から20年代に書かれた中東欧の傑作が集められた密度の濃い選曲だ。後期ロマン派とモダニズムの間で揺れ動きながら孤独と内省にたどりつくバルトーク、トルストイの小説への共感から若い人妻への情熱を芸術作品へと昇華させたヤナーチェク、12音技法を用いながらも後期ロマン派の残り香を漂わせるベルク。三者三様のスタイルで時代を切り拓こうとする作曲家たちの姿が伝わってくることだろう。高度な技術に支えられた緻密なアンサンブルが、作品の核心に迫る。
文:飯尾洋一
(ぶらあぼ2025年6月号より)
クァルテット・インテグラ II
2025.8/5(火)19:00 TOPPANホール
問:TOPPANホールチケットセンター03-5840-2222
https://www.toppanhall.com