
4月のNHK交響楽団の定期公演では、名誉指揮者パーヴォ・ヤルヴィが2つのプログラムを振る。
12日と13日、NHKホールでのAプログラムでは、アントワーヌ・タメスティがソリストとして登場、ベルリオーズの交響曲「イタリアのハロルド」のヴィオラ独奏を弾く。繊細かつ楚々と奏でられるフレージング。もっとも美しい音色をもつヴィオリストの「イタリアのハロルド」は聴き逃せない。
プロコフィエフの交響曲第4番は、アメリカへの亡命時代に書かれた初稿ではなく、ソ連に帰国してから改訂した重量級の版による演奏だ。ヤルヴィの精悍な解釈に、世代交代が進むオーケストラが俊敏に反応、運動性に満ちた演奏を繰り広げてくれるだろう。
17日と18日は、サントリーホールでのBプログラム。ストラヴィンスキーのバレエ音楽「ペトルーシュカ」(1947年版)では、ピアノ・パートを松田華音が担当するという贅沢さ。そして、重厚なブリテンのピアノ協奏曲では、ベンジャミン・グローヴナーをソリストに迎える。英国が誇るヴィルトゥオーゾが弾くブリテン作品は、大いに注目される公演になる。
こちらもプログラムを締めくくるのはプロコフィエフだ。交響組曲「3つのオレンジへの恋」は、オペラ全曲から6曲を抜粋した演奏会用組曲。なかでも、行進曲とスケルツォがよく知られていよう。颯爽とした運びのなか、プロコフィエフならでのオーケストレーションを濃厚なタッチで描いてくれるはずだ。
文:鈴木淳史
(ぶらあぼ2025年3月号より)
パーヴォ・ヤルヴィ(指揮) NHK交響楽団
第2034回 定期公演 Aプログラム
2025.4/12(土)18:00、4/13(日)14:00 NHKホール
第2035回 定期公演 Bプログラム
4/17(木)、4/18(金)各日19:00 サントリーホール
3/2(日)発売
問:N響ガイド0570-02-9502
https://www.nhkso.or.jp