東京フィル3月定期はストラヴィンスキー&ヒンデミットで、バッティストーニの躍動を堪能

左:アンドレア・バッティストーニ ©三浦興一
右:髙木竜馬 ©Yuji Ueno

 アンドレア・バッティストーニのタクトは、音楽の表情に応じ、その瞬間ごとに鮮やかな光景を映し出す。そして、客席に高揚感をもたらす瞬発力、運動性、そして色彩感。3月の東京フィル定期では、そんな彼の持ち味を生かしたプログラムが披露される。

 これまで、ストラヴィンスキーの「春の祭典」(2017年)、「火の鳥」(2021年)を取り上げてきたバッティストーニと東京フィル。今回の「ペトルーシュカ」(1947年版)によって、三大バレエ演奏が完結する。民族的なエレメントをモダニズムへと昇華させた「ペトルーシュカ」。オーケストラのもつ輝かしいサウンドを存分に生かしつつ、ニュアンスに富んだ演奏を期待していい。ピアノ・パートを髙木竜馬が弾くのもうれしい限りだ。

 もう一つのメインとなる作品は、今年生誕130年を迎えるヒンデミットの「ウェーバーの主題による交響的変容」だ。渋味をもった後期ロマン派の作曲家による数多い楽曲のなかで、もっとも演奏効果が高い人気曲でもある。過剰なまでの色彩と躍動感、そしてジャズの影響も見受けられるリズム。とりわけ第2楽章のウェーバーの劇付随音楽「トゥーランドット」の主題に基づく変奏曲や、第4楽章の行進曲では、生き生きとした表情でアツい音楽を客席まで届けてくれることだろう。この曲の前には、ウェーバーにちなんで、その《オベロン》序曲を演奏。オペラ指揮者としてのキャリアも順調に積み重ねてきたマエストロの腕前が発揮されよう。
文:鈴木淳史
(ぶらあぼ2025年3月号より)

【指揮者変更】
首席指揮者アンドレア・バッティストーニは、2025年1月のケガ(右肩前方脱臼)の回復の遅れのため、医師の診断により出演できなくなりました。
代わりましてケンショウ・ワタナベが出演します。
詳細は下記ウェブサイトでご確認ください。(3/5主催者発表)

アンドレア・バッティストーニ(指揮) 東京フィルハーモニー交響楽団
第1012回 オーチャード定期演奏会

2025.3/9(日)15:00 Bunkamura オーチャードホール
第168回 東京オペラシティ定期シリーズ
2025.3/12(水)19:00 東京オペラシティ コンサートホール
第1013回 サントリー定期シリーズ
2025.3/14(金)19:00 サントリーホール
問:東京フィルチケットサービス03-5353-9522 
https://www.tpo.or.jp