ウィーン・フォルクスオーパーの名花、ヘドウィグ・リッターが世界最高の室内オーケストラと楽都の響きを届ける

©Theresa Wey

 この4月に全国7都市で8公演が開催される「トヨタ・マスター・プレイヤーズ,ウィーン」にウィーン・フォルクスオーパーの名花、ヘドウィグ・リッターが2023年に続いて登場する。日々進化を遂げている気鋭のソプラノである。

 「2023年公演が初めての来日でした。日本を知るのにこれ以上素晴らしく、ラッキーな機会はなかったと思っています! 短期間で多くの都市を訪れ、多彩な文化や美味しいものを体験することができたのは、この国に詳しい同僚たち(トヨタ・マスター・プレイヤーズ,ウィーン)のおかげ。自然の美しさ、印象深い街並みは今でも目の前によみがえります」

 前回は《こうもり》の小間使いアデーレのアリアなどを歌っていたが、今回は同じ作品の女主人ロザリンデのアリアや、レハールの喜歌劇《メリー・ウィドウ》からハンナの〈ヴィリアの歌〉などを披露する。彼女自身のレパートリーに変化があるようだ。

 「確かに私のレパートリーは変わりました。2023年はまだスーブレット(小間使い役など高音域の軽い声が特徴)専門でしたが、今、フォルクスオーパーでは、ロザリンデ、《カルメン》のミカエラ、《イオランタ》の題名役などを歌います。今回のプログラムは私が好きな曲、今の私の声に合う曲です。これらは以前からぜひ歌いたいと思っていました」

2023年公演よりヘドウィグ・リッター(中央) ©Ayumi Kakamu

 フォルクスオーパーではどのような日々を過ごしているのだろうか。

 「10時〜13時、17時〜20時の毎日6時間、リハーサルを行い、この前に発声して声を慣らします。ヨガが大好きで、昼休みの仮眠は絶対に必要です。現在は一年に7つの役を歌い、合計約40公演に出演しています。7役のうち5役は主役です。フォルクスオーパーのレパートリーには、オペラに加えてミュージカルやオペレッタも入っています。歌唱だけでなく芝居も大事なのです」

 オペラでの好きな役やこれからの方向性についてもきいた。

 「私の夢見る役は《ローエングリン》のエルザです。2023年、《後宮からの逃走》のブロンデを歌った際に、私の声は違う方向へ向かっていると感じました。そこで、まず3週間歌うのをやめ、そのあと(師事している)歌の先生とエルザのアリアを歌ってみるという実験を行ったのです。すると、この役が私の声に合っていることがわかりました。今は、徐々にR.シュトラウス、ワーグナーを勉強し始めています。もちろん、オペレッタやイタリア・オペラも大好き。できるなら色々なレパートリーを全てチャレンジしてみたいです」

 最後に公演に向けてメッセージをもらった。

 「今回もトヨタ・マスター・プレイヤーズ,ウィーンの方々と共演できることはとても光栄です。日本の皆さまとの再会、また新しい出会いがあることも楽しみにしております」
取材・文:山田治生
(ぶらあぼ2025年3月号より)

トヨタ・マスター・プレイヤーズ,ウィーン
2025.4/17(木)~4/25(金) 札幌・仙台・東京・豊橋・豊田・名古屋・福岡


【ヘドウィグ・リッター出演公演】

プログラムA「芳しいウィーンの薫りをあなたに」
2025.4/21(月)19:00 アクロス福岡シンフォニーホール(西日本新聞イベントサービス092-711-5491)
4/22(火)19:00 東京オペラシティ コンサートホール(トヨタ・マスター・プレイヤーズ事務局03-5210-7555)
4/24(木)19:00 札幌コンサートホール Kitara(道新プレイガイド0570-00-3871)
4/25(金)17:00 日立システムズホール仙台 コンサートホール(完売)
https://www.toyota.co.jp/tomas/
※公演の詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。