
チェンバロ&オルガン奏者の大塚直哉がバロック音楽の世界を案内するシリーズの4回目。今回はバッハのクラヴィーア練習曲集第1〜3巻を2日間に分けてとりあげる。バッハ自らの意思で作曲・出版したこれらの曲集は、「自分の豊かな音楽への招待状」であると同時に「我が至高の音楽を理解できるのか?という挑戦状」でもある…というユニークな視点でその魅力を紹介してくれる。
大塚は毎回、ナビゲーターを務めるNHK-FM番組での柔らかい語り口そのままに、説得力ある演奏と興味深いトークを展開するから、このコンサートは「へぇ〜」「なるほど!」「そうだったのか…」の連続で愉しいことこの上ない。この度は初日がチェンバロのための作品を集めた第1巻「6つのパルティータ」と第2巻「イタリア協奏曲」・「フランス風序曲」、2日目は神奈川県民ホールのオルガン・アドバイザー中田恵子をゲストに迎え、第3巻「ドイツ・オルガン・ミサ」からの楽曲を披露する予定。
初日は休憩2回でたっぷり演奏が楽しめるし、2日目は大塚がポジティフオルガンを、中田が小ホールのオルガンを奏でてくれる。あの空間で響く「ドイツ・オルガン・ミサ」からのプログラムはとても貴重。豊かな音色に包まれることだろう。
「ドイツ・オルガン・ミサ」に代表されるバッハの重厚なる鍵盤音楽の宇宙は、時に難解でとっつきにくい印象を与えがちだが、この公演を訪れれば心配ご無用。これまで、しかめっ面だったバッハが、にっこり微笑んでくれるに違いない。
文:朝岡 聡
(ぶらあぼ2025年2月号より)
C × Baroque シー・バイ・バロック 大塚直哉が誘うバロックの世界 Vol.4
バッハからの"招待状" or "挑戦状"!? ~出版された「クラヴィーア練習曲」シリーズより~
2025.3/22(土)、3/23(日)各日14:00 神奈川県民ホール(小)
問:チケットかながわ0570-015-415
https://www.kanagawa-kenminhall.com
※公演によりプログラムは異なります。詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。