リームとブルックナーが出合う時
読売日本交響楽団の常任指揮者シルヴァン・カンブルランのプログラムは、つねに一捻りしてあるのが楽しみである。漫然とならべることなく、前後の組合せをしっかりと考え、関連させる。今回も19世紀と20世紀のドイツ語圏、ロマン派と現代音楽の2作品で、いったいどんな結びつきを聴かせてくれるだろうか。
まず、現代ドイツの作曲家ヴォルフガング・リーム(1952〜)の「厳粛な歌」。ブラームス最晩年の歌曲「4つの厳粛な歌」に想を得たもので、1996年に管弦楽曲として完成されたのち、翌年にゲオルク・ビュヒナー(『ヴォイツェック』や『ダントンの死』で名高い、19世紀前半のドイツの作家)の詩による歌曲を加えた。管弦楽曲のみの版は日本でも数度演奏されているが、歌曲つきは今回が日本初演となる。独唱は、ドイツの歌劇場で経験をかさねてきた小森輝彦。
そして、後半はブルックナーの交響曲第7番。近年の読響のブルックナーといえば、前の常任指揮者スクロヴァチェフスキによる剛毅な演奏が支持を集めてきたが、フランス人カンブルランのそれは、どんな響きになるのだろう。メシアンを得意とするだけに、透明度の高い、光と色の多彩な変化による新鮮な音楽が聴けるのではないだろうか。この作曲家を読響と演奏するのは今回が初めてとなるが、ドイツでは何度か取りあげ、そのライヴ録音のCDが日本でも好評を得ているだけに、大いに期待したい。
文:山崎浩太郎
(ぶらあぼ + Danza inside 2015年4月号から)
第547回 定期演奏会
4/10(金)19:00 サントリーホール
第1回 東京オペラシティ名曲シリーズ
4/12(日)14:00 東京オペラシティ コンサートホール
問 読響チケットセンター0570-00-4390
http://yomikyo.or.jp