石川 滋(コントラバス)

楽器のイメージを覆す、しなやかな独奏

 あのコントラバスが、かくもなめらかに歌うとは! 石川滋の演奏は、聴いた誰をもそう思わせる。石川は、大家ゲイリー・カーに師事し、ジュリアード音楽院で学んだ後、ニュー・ワールド響、フロリダ・フィル、ベルン響の首席奏者を歴任した日本屈指の達人。1992年からサイトウ・キネン・フェスティバルにも参加し、2013年に帰国して以来、読響のソロ・コントラバス奏者(日本のオーケストラでは初のポスト!)に就任した。
 この4月のリサイタルでは、珍しいコントラバスのソナタから、「鳥の歌」「アルペジョーネ・ソナタ」などチェロのレパートリー、日本の子守歌やピアソラまで、多彩な楽曲を聴かせる。「王冠の宝石」「強靭かつフットワークの軽い名人芸」「抗し難い魅力」…と欧米のメディアも絶賛したその妙技に触れる貴重なチャンス。破格のテクニックをもつ彼は、コントラバス特有のボリューム感を保ちながら、美しくかつ繊細に楽器を歌わせる。同楽器のソロになじみのない方も、新たな音楽世界に驚嘆し、開眼させられること必至だ。
文:柴田克彦
(ぶらあぼ + Danza inside 2015年4月号から)

4/11(土)14:00 トッパンホール 
問 コンサートイマジン03-3235-3777
4/15(水)19:00 兵庫県立芸術文化センター(小)
問 芸術文化センターチケットオフィス0798-68-0255