新日本フィルが2025/26シーズン定期演奏会のラインナップを発表

 新日本フィルハーモニー交響楽団が8月29日、2025/26シーズンの定期演奏会ラインナップを発表した。佐渡裕の音楽監督3年目、主軸に掲げてきた「ウィーン・ライン」をベースに置きつつも、多岐にわたったプログラムが組まれている。

佐渡裕 ©Peter Rigaud c/o Shotview Artists

 定期演奏会は、本拠地すみだトリフォニーホールとサントリーホールでのシリーズ、および平日マチネも含む「すみだクラシックへの扉」の2つの柱からなる。シーズンは、佐渡の振る2つのバーンスタイン作品、交響曲第3番「カディッシュ」と「『ミサ』から3つのメディテーション」ほかで開幕。戦後80年の節目にあたるこの年、語りに大竹しのぶ、合唱も加わり、ユダヤ教を背景にもつ師の作品群に平和への祈りを込める。

 佐渡は他に、上原ひろみをソリストに迎えてのガーシュウィン「ピアノ協奏曲 ヘ調」、ホルスト「惑星」ほかイギリス・プロ、ベルリオーズ「幻想交響曲」など、バラエティに富んだプログラムで計5演目10公演に登場。シーズンの締めくくりには、マーラーの交響曲第6番「悲劇的」が予定されている。今シーズンも25年1月に第9番の演奏を控えているが、感情の起伏が激しくさまざまなアンサンブルの妙を堪能できる第6番で、楽団のポテンシャルを遺憾なく発揮してくれそうだ。

左上より:ハインツ・ホリガー ©PriskaKetterer3/アンドレイ・ボレイコ ©Michał Zagórny/トーマス・ダウスゴー ©ThomasGrøndahl/ディエゴ・マテウス/ジャン=クリストフ・スピノジ/藤岡幸夫 ©Shin Yamagishi

 客演陣では、大御所ハインツ・ホリガーの登場が話題を呼びそう。自らルトスワフスキの「オーボエとハープと室内管弦楽のための二重協奏曲」でオーボエを披露(ハープは吉野直子)するほか、メインはメンデルスゾーン「イタリア」。そのほか海外勢では、ワルシャワ・フィルを率いての来日も記憶に新しいアンドレイ・ボレイコ、昨夏のPMFオーケストラとの共演も印象的だったトーマス・ダウスゴー、小澤征爾音楽塾で実績を積み、今年4月にはメトロポリタン・オペラにもデビューするなど上昇気流に乗るディエゴ・マテウス、これまでにも新日本フィルに客演し、古楽にも精通したジャン=クリストフ・スピノジ、大阪生まれで昨年のジーメンス・ハレ国際指揮者コンクール優勝で注目を集める新鋭、ユアン・シールズなど、多世代にわたる指揮者が登場する。また、藤岡幸夫や熊倉優ら国内勢も得意のレパートリーで登壇予定。

左上より:上原ひろみ/ツォトネ・ゼジニゼ ©Sophia Melkidze/HIMARI/菊池亮太/反田恭平 ©Yuji Ueno/小林愛実 ©Makoto Nakagawa

 ソリストにも多彩な顔ぶれが並んだ。バレンボイムらにその才能を評価され、天才ピアニストとの呼び声高いジョージア出身の15歳、ツォトネ・ゼジニゼ、2025年3月のベルリン・フィルへの出演直前に新日本フィルに登場することになるHIMARI(ヴァイオリン)など、10代の才能が躍動。また、ストリートピアニストとしても旋風を巻き起こす菊池亮太が弾くヒナステラの協奏曲は要注目。人気ピアニスト反田恭平と小林愛実 夫妻がそれぞれ協奏曲でソリストを務めるほか、クリスティアン・テツラフ(ヴァイオリン)や神尾真由子(ヴァイオリン)など実力者たちも登場。楽団メンバーのビルマン聡平(首席第2ヴァイオリン)、瀧本麻衣子(首席ヴィオラ)のソリスト登用も含め、見どころの多いシーズンとなる。

新日本フィルハーモニー交響楽団
https://www.njp.or.jp