名手たちがいざなう南欧の自然を味わう旅
難解なイメージの現代音楽を、常に魅力的なプログラムと安定した演奏力で聴かせてくれるいずみシンフォニエッタ大阪(ISO)。音楽監督の西村朗が昨年9月に急逝したことで、新作の初演を軸とした、聴き手の知的好奇心を刺激するプログラムはどうなるのかと心配したが、今回の「スペイン音楽特集」は、アルベニス、グラナドスといった直球のスペイン音楽から、ファリャ、ロドリーゴ、そして同国を代表する現代作曲家・カサブランカスの作品が歴史を追うように並び、その変遷と魅力を十分感じさせてくれそうだ。
プログラム・アドバイザーの川島素晴は語る。
「今シーズンの定期演奏会までは、西村監督とプログラムを作り上げました。今回は、ピアノの萩原麻未さん、ホルンの福川伸陽さんをソリストに招いた協奏曲が2曲、日本初演の作品も並ぶ意欲的な演目。僕もファリャの作品をISOのサイズに編曲します」
大阪に所縁のある少数精鋭の腕利きたちを取り纏めるのは、多くの音楽家を育てたソロ・コンサートマスターの小栗まち絵、指揮は常任指揮者の飯森範親という鉄壁の布陣。萩原は「ファリャの『スペインの庭の夜』は今回が初めて。このオケで弾けるのが嬉しいです。オーケストラとピアノが響き合い、協奏曲というより、オケ中ピアノをよりソリスティックにした感じの音楽です」と話す。
西村が「鑑賞力の高さが誇らしい!」と絶賛した聴衆に混ざって、このスリリングなコンサートを一度体験してみてはいかがだろう。
文:磯島浩彰
(ぶらあぼ2024年7月号より)
第52回 定期演奏会
2024.7/13(土)16:00 大阪/住友生命いずみホール
問:住友生命いずみホールチケットセンター06-6944-1188
https://www.izumihall.jp