沖澤のどか(指揮) NHK交響楽団

敏腕の俊才が注目の定期初登場!

左:沖澤のどか ©Felix Broede
右:デニス・コジュヒン ©Marco Borggreve

 この6月、期待の俊英指揮者の筆頭格・沖澤のどかがN響定期に初登場を果たす。沖澤は、2018年東京国際音楽コンクール〈指揮〉で女性初の第1位を獲得し、19年のブザンソン国際指揮者コンクールで優勝。20年からキリル・ペトレンコの助手となり、22年には代役でベルリン・フィルを指揮している。そして23年京響の常任指揮者、24年セイジ・オザワ松本フェスティバルの首席客演指揮者に就任。N響とも、20年8月の「夏のフレッシュコンサート」、22年7月の「オーチャード定期」他で共演し、鮮やかな演奏を展開している。

 彼女の凄さは、名うての敏腕楽団にもナチュラルに対応し、全体の構成が確かで生気に富んだ音楽を生み出す点。日本に冠たるN響との2回の共演でも、雄弁で弾んだ演奏を衒いなく聴かせている。

 今回は20世紀フランス音楽に焦点を当てたプログラム。N響との前回の共演でもラヴェル等の名作で精彩を放った得意のレパートリーだけに、イベールの「寄港地」では地中海沿岸の風物が色彩感豊かに表現され、ドビュッシーの「夜想曲」では絵画的な情景が精妙かつ動的に描かれるに違いない。またラヴェルの「左手のためのピアノ協奏曲」では、2010年エリザベート王妃国際音楽コンクールの覇者デニス・コジュヒンが共演。17年録音の同曲のCDで、強さと煌めきを兼備した名奏を披露している彼ならば、ジャズの要素を交えた本作の特質を明確に伝えてくれるだろう。

 これは、音色とリズムに繊細な感性を示す沖澤の個性が、名手揃いの楽団で存分に発揮される、注目のコンサートだ。
文:柴田克彦
(ぶらあぼ2024年6月号より)

第2014回 定期公演 Cプログラム
2024.6/14(金)19:30、6/15(土)14:00 NHKホール
問:N響ガイド0570-02-9502 
https://www.nhkso.or.jp