群馬交響楽団と高崎芸術劇場がタッグを組んだGTシンフォニック・コンサート 2025-26シーズンの聴きどころ

 群馬交響楽団と高崎芸術劇場の共催で、2022年度から始まった「GTシンフォニック・コンサート」がおもしろい。大きな特徴は、クラシック、オペラから映画音楽、ミュージカル、さらにはジャズやポピュラーなど、多岐にわたるジャンルをあえて同じシリーズで組んでいること。このシリーズに通えば、好調なオーケストラと国内屈指の会場で、あらゆる「音楽」を広く体験できるのだ。2025-26シーズンもバラエティに富んだ6公演が並ぶ。

左より:千住 明/エリック・ミヤシロ/大友直人 ©Rowland Kirishima

 vol.1(5/31)は「千住明の世界 ドラマ&CM音楽特集」。TBSドラマ『砂の器』『VIVANT』の音楽などを、作曲者自身が指揮する貴重な機会。彼の妹で名ヴァイオリニストの千住真理子、ピアノの川田健太郎も出演し、千住明の抒情的で雄大な音楽が奏でられる。

 vol.2(7/12)はジャズ。「ブルーノート東京“GT”シンフォニック・ジャズ・オーケストラ」と冠して、スーパー・トランぺッターのエリック・ミヤシロがリードするコンサートだ。本物のジャズのサウンドを聴かせるとともに、彼の超絶トランペット演奏が炸裂する。

 vol.3(9/6)は一転、硬派にオール・ブラームス・プロ。ヴァイオリン協奏曲と交響曲第1番で勝負。高崎芸術劇場芸術監督の大友直人の円熟のタクトと、ヴィエニャフスキ国際コンクール優勝はじめ飛ぶ鳥を落とす勢いの前田妃奈の鮮烈なヴァイオリンで、ブラームスの超名曲を味わい尽くす。

左より:レナード・スラットキン ©David Duchon Doris/沼尻竜典/竹本泰蔵

 クラシックファンの関心を大いに集めそうなのが、アメリカの世界的巨匠レナード・スラットキンが登壇するvol.4(12/7)。待望のオール・アメリカン・プログラムで、ガーシュウィンやコープランドなどを聴かせてくれる。彼の振るアメリカ音楽が生み出す幸福感は格別で、各地からファンが馳せ参じるだろう。

 《カルメン》演奏会形式のvol.5(26. 2/1)も注目ポイントが多い。まず、主役を山下裕賀が務めること。重要公演に出演を重ね、日本音楽コンクール優勝も果たし、瞬く間に実力と人気を備えたメゾソプラノとなった彼女が、カルメンの情熱と妖艶さをどう表現するのか。さらに、ドン・ホセに清水徹太郎、エスカミーリョに大西宇宙と、男声も実力派の人気歌手が並ぶこと。そして、まとめるのは名オペラ指揮者・沼尻竜典。最高の布陣がそろう人気オペラで、熱きステージが実現するのは間違いない。

 「映画音楽名作選」のvol.6(26.3/7)は、「『ファンタジア』映像付きコンサート」。クラシックの名曲に乗せて最高のアニメーションが展開されるディズニー映画『ファンタジア』に、実演で音楽が付されることになる。竹本泰蔵の指揮で、映画と音楽の贅沢な時間を。
文:林 昌英
(ぶらあぼ2025年3月号より)

群馬交響楽団 × 高崎芸術劇場 GTシンフォニック・コンサート 2025-2026
【vol.1】
2025.5/31(土)
【vol.2】 7/12(土)
【vol.3】 9/6(土)
【vol.4】 12/7(日)
【vol.5】 2026.2/1(日)
【vol.6】 2026.3/7(土)
各日14:00 高崎芸術劇場
問:高崎芸術劇場チケットセンター027-321-3900
https://www.takasaki-foundation.or.jp/theatre/
群馬交響楽団事務局027-322-4944
https://www.gunkyo.com