尾高忠明(指揮) 大阪フィルハーモニー交響楽団

円熟のタクトがアニバーサリーイヤーの幕開けを飾る

尾高忠明 ©飯島 隆

 2024年はブルックナーの生誕200年。オーケストラの公演ではもともと大人気作曲家だが、例年にも増してブルックナーの交響曲を聴く機会が増えそうだ。さっそく1月に尾高忠明指揮大阪フィルによる交響曲第6番が、フェスティバルホールでの定期演奏会とサントリーホールでの東京定期で演奏される。

 尾高は2018年に大阪フィルの音楽監督に就任して以来、定期的にブルックナーの交響曲をとりあげてきた。近年の東京定期でもたびたび演奏されており、首都圏の聴衆にも尾高&大阪フィルコンビのブルックナーはすでに定評がある。

 今回の曲目は交響曲第6番。ブルックナーの交響曲のなかでは比較的演奏頻度の低い曲だが、インパクトのある第1楽章冒頭主題から荘厳な第4楽章に至るまで、すみずみまでこの作曲家ならではの魅力があふれている。さらに、メランコリーや抒情性といった要素が際立っているのが第6番の特徴といえるだろう。

 加えて、武満徹の「オーケストラのための『波の盆』」も演奏される。ハワイ・マウイ島へ渡った日系移民を描いたテレビドラマのために書かれた作品で、万人にその美しさが伝わる楽曲だと思う。生前の作曲者と親交が深かった尾高の指揮で聴けるのがうれしい。
文:飯尾洋一
(ぶらあぼ2024年1月号より)

第574回 定期演奏会
2024.1/18(木)、1/19(金)各日19:00 大阪/フェスティバルホール
第56回 東京定期演奏会
2024.1/22(月)19:00 サントリーホール
問:大阪フィル・チケットセンター06-6656-4890 
https://www.osaka-phil.com