年末年始も全国を駆けめぐる! 12月&1月公演の聴きどころ
コロナ禍を乗り越えるために2021年にスタートした「クラシック・キャラバン」が3年目を迎え、今年も全国各地で多彩な公演が開催されている。キャッチフレーズは「クラシック音楽が世界をつなぐ〜輝く未来に向けて〜」。ひとつの公演にトップレベルのアーティストたちが何人も出演する豪華なラインナップが魅力だ。12月から1月にかけて、岡山、群馬、島根、山口、福岡、静岡、京都、新潟の各地で、「華麗なるガラ・コンサート」(大ホール)および「煌めくガラ・コンサート」(小ホール)が開催される。これら8公演から、注目の公演を選んでご紹介したい。
まずは12月2日、高崎芸術劇場では、生誕190年となるブラームスの室内楽を中心としたプログラムが組まれる。ピアノ四重奏曲第3番では、2019年ヨハネス・ブラームス国際コンクールのピアノ部門で優勝した三原未紗子に、ヴァイオリンの成田達輝、ヴィオラの川本嘉子、チェロの中木健二の名手たちが加わる。さらにトランペットのオッタビアーノ・クリストーフォリ、ヴァイオリンの小林美樹、ピアノの實川風によるホルン三重奏曲(フリューゲルホルン編曲版)第3&第4楽章や、群馬交響楽団首席クラリネット奏者の西川智也らによるクラリネット五重奏曲第3&第4楽章など、そうそうたるメンバーが集結して、ブラームスの核心に迫る。
12月10日のアクロス福岡シンフォニーホールでは「the MATSURI “祭” 〜5つの狂詩曲〜博多ラプソディ」と題される。古今の5つの狂詩曲(ラプソディ)が集められ、豪華ソリスト陣が高関健指揮スーパー・クラシック・オーケストラと共演する。「博多どんたく」と「博多祇園山笠」からインスピレーションを受けたという小出稚子作曲の「博多ラプソディ」、清水和音のピアノでガーシュウィンの「ラプソディ・イン・ブルー」、南紫音によるバルトークの「ヴァイオリンと管弦楽のための狂詩曲」第1番、上野耕平によるドビュッシーの「アルト・サクソフォンと管弦楽のための狂詩曲」、そして松田華音のピアノでラフマニノフの「パガニーニの主題による狂詩曲」という5曲。これだけのソリストが一堂に会することはまずない。
異彩を放つのは12月30日、ロームシアター京都で開催されるブラームスとリゲティを組み合わせたプログラム。ブラームスの人気曲、弦楽六重奏曲第1番やヴァイオリン・ソナタ第1番〜第3番に、今年生誕100年を迎えたリゲティの「バラードとダンス」「ルクス・エテルナ」「ホルン・トリオ」より、「100台のメトロノームのためのポエム・サンフォニック」が加わる。100台のメトロノームが一斉に鳴らされ、やがて最後に一台だけが残る「ポエム・サンフォニック」には予期せぬ音のドラマが待っている。「一日早い除夜の鐘の代わり」としての選曲だとか。石上真由子、尾池亜美のヴァイオリン、田原綾子のヴィオラ、福川伸陽のホルン、松本和将のピアノほか、こちらも出演者陣が充実。
1月7日のりゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館での公演もユニークだ。「仲道郁代プロデュース 5台ピアノの祭典」と題し、5台のグランドピアノが用意され、6名のピアニストが出演する。仲道郁代、横山幸雄、小川典子といった日本のトップスターたちと、五十嵐薫子、小井土文哉、吉見友貴といった気鋭が共演する貴重な機会だ。モーツァルトの「トルコ行進曲」、サン=サーンスの「死の舞踏」、ホルストの組曲「惑星」から〈木星〉ほかが5台ピアノで演奏されるというのだが、はたしてどんな響きが生み出されるのだろうか。
文:飯尾洋一
(ぶらあぼ2023年12月号より)
《華麗なるガラ・コンサート》
2023.12/10(日)15:00 アクロス福岡シンフォニーホール
問:エムアンドエム092-751-8257
2024.1/7(日)17:00 りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館 コンサートホール
問:サンライズプロモーション北陸025-246-3939
《煌めくガラ・コンサート》
2023.12/2(土)16:00 高崎芸術劇場 音楽ホール
問:テレビマンユニオン音楽事業部03-6418-8617
12/30(土)15:00 ロームシアター京都 サウスホール
問:東京コンサーツ03-3200-9755
https://www.classic-caravan.com
※詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。