中島英寿ピアノリサイタル
新たな章へ—歩みを刻むゆかりのステージ

 中島英寿は桐朋学園大学音楽学部特待生を経て同大学ソリスト・ディプロマコースを修了したピアニスト。第67回全日本学生音楽コンクール名古屋大会高校の部、2015年第20回コンセール・マロニエ21ピアノ部門でそれぞれ第2位を受賞。2016年には第7回桐朋ピアノコンペティション第1位と数多くの賞に輝いてきたが、とくに注目を集めたのは2022年に行われた第20回東京音楽コンクールピアノ部門での第1位および聴衆賞受賞であろう。
 今回のリサイタルはこの受賞を記念して行われるもので、中島の音楽性を存分に感じられる公演になるはずだ。メンデルスゾーンの優美かつ軽快な音楽が物語のように展開する「ロンド・カプリッチョーソ」で幕を開けると、心躍る舞曲が次々と展開するバッハのフランス組曲第5番が続き、前半最後をコンクールの第2次予選でも演奏した、シューマンならではの陽と陰のコントラストが錯綜するピアノソナタ第2番で飾る。
 後半にはショパンの作品の中でもとりわけ多彩な技術をはじめ、様々な性格の小品の連続をまとめあげる構築性と各曲の表現力が求められる難曲、「24の前奏曲」が置かれている。10月の第19回ショパン国際ピアノコンクールでも多くのコンテスタントが演奏し、改めてこの曲の魅力と難しさを感じた人も多かったことだろう。中島がこの作品にどのように取り組み、聴かせてくれるのか楽しみだ。
 中島は東京音楽コンクールでは前述のシューマンをはじめ、ドビュッシーなどの作品やリストのピアノ協奏曲第1番を演奏し、確かな技術と幅広い音楽性、作品の内容を鮮やかに伝える表現力などが高く評価されている。優勝者コンサート出演にあたっては審査委員長である野平一郎から「大きな空間を目指す輪郭のはっきりしたピアノ。より柔軟性を持ったピアノへ飛翔することを期待しています」というコメントが寄せられているように、豊かな響きの音色、ホールを包み込むようなスケールの大きい音楽づくりができるピアニストだということが窺える。
 すでにいくつものオーケストラと共演を重ね、国内外の公演にも数多く出演している中島。今後の活躍がどのように展開していくのか、ますます楽しみな彼の“いま”を聴くことができる今回のリサイタル。キャリアの大きな転換点となった思い出の地・東京文化会館で、成長著しい彼の音楽がどのように響き渡るのか、ぜひ聴き届けてほしい。

文:長井進之介

東京音楽コンクール入賞者リサイタル
中島英寿ピアノリサイタル~鍵盤で紡ぐ 光と影 躍動と情熱~
2026.4/25(土)14:00 東京文化会館(小)

プログラム
F.メンデルスゾーン:ロンド・カプリッチョーソ ホ長調 op.14
J.S.バッハ:フランス組曲 第5番 ト長調 BWV816
R.シューマン:ピアノ・ソナタ 第2番 ト短調 op.22
F.ショパン:24の前奏曲 op.28

問:オフィスフォルテ 03-6220-3367
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長井進之介 Shinnosuke Nagai

国立音楽大学大学院修士課程器楽専攻(伴奏)修了を経て、同大学院博士後期課程音楽学領域単位取得。在学中、カールスルーエ音楽大学に交換留学。アンサンブルを中心にコンサートやレコーディングを行っており、2007年度〈柴田南雄音楽評論賞〉奨励賞受賞(史上最年少)を機に音楽ライターとして活動を開始。現在、群馬大学共同教育学部音楽教育講座非常勤講師、国立音楽大学大学院伴奏助手、インターネットラジオ「OTTAVA」プレゼンターも務める。
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