対談 西村朗 × 久石譲
日本を代表する作曲家の“いま”を聴く

取材・文:柴田克彦

 全音楽譜出版社が主催する「四人組とその仲間たち」の第28回目のコンサートが12月に開催される。「四人組」は、池辺晋一郎、新実徳英、西村朗、金子仁美という日本を代表する作曲家たち。今回はゲストで久石譲が加わる。そこで、同公演に因んで行われた西村朗、久石譲両氏の対談の席上でお二人に話をうかがった。(対談の模様は記事下の動画をご覧ください)

左:久石譲 右:西村朗

 本公演は1994年から続く息の長い企画。過去27回の間に153作品が世界初演されている。

西村「全音の出版部の方の『現代の作品を出していくにあたって、何か核になるものを作りたい』との思いから始まりました。途中で金子仁美さんに変わってからもすでに長く、4人はずっと固定です。最初は4人だけで旧作と新作を演奏していましたが、ある時期からゲスト作曲家も迎えて、基本的に新作のみを披露しています」

 ゲストの久石は今回が初参加となる。

西村「久石さんが主宰されている作曲コンクールの審査員の一人に指名してくださって以来、お付き合いがあるので、今回お願いしました」

久石「呼んでいただいて心から感謝しています。昨年の公演を拝見させていただきましたが、凄く楽しかったし、本当に面白い。この演奏会は現代音楽に興味のある人でなくても十分楽しめると思います」

 今回の演目は「ユーフォニアムとマリンバ(西村作品)」「2本のトロンボーン(池辺作品)」「バリトンとピアノ(新実作品)」「トロンボーンとオンド・マルトノ(金子作品)」に「2台のチェロ(久石作品)」など比較的レアな楽器編成ばかり。その響きだけでもいたく興味をそそられる。しかも演奏者が皆、日本のトップクラスである点が驚きだ。

西村「編成に関しては作曲者の自由です。ただし二重奏以内で、時間は15分以内を目安にしています。演奏者は作曲者が自分で連れてくる形。皆が自らの威信をかけて日本のトップ奏者に声をかけています」

 なお西村の「キールティムカ ユーフォニアムとマリンバのための」は、「ユーフォニアムの外囿祥一郎さんとマリンバの西久保友広さんがユニットを組んでいることからの発想(西村)」との由。

 久石の作品は「揺れ動く不安と夢の球体 2台のチェロのための」。元々ギター2台のために書かれた作品で、まずマリンバ2台にリメイクされ、今回さらに2台のチェロ用の新バージョンが作られた。「チェロの富岡廉太郎さんと古川展生さんの組み合わせも素晴らしい(久石)」ので乞うご期待。

 「久石さんには来年ぜひ新作をお願いしたい(西村)」、「なかなか時間が取れないけど、可能な限り調整してみます(久石)」というから、そちらも楽しみだ。

 また、公演の様子は毎年NHK-FM「現代の音楽」によって収録・放送され、初演作品は全音楽譜出版社より発刊されている。さらに2021年からはライブ配信も開始された。

 「お客さんが闇鍋の会場に引っ張り込まれるような公演。作曲家もやはり料理人的な要素を持っていたい(西村)」、「お客さんに迎合する必要はないが、作曲家の思いが全てという考えにもブレーキが必要。現代音楽が一部の人たちの閉鎖的な世界にならないように(久石)」と語る2人。会場の東京文化会館小ホールは、「キャパシティもちょうどいいし、響きもアクセスもいい(西村)」ので、できる限り多くの方に触れてほしい。

第1回:作曲家の真意と現代音楽
第2回:現代音楽とバッハとミニマル・ミュージック
第3回:21世紀の音楽と作曲家の思惑

四人組とその仲間たち その28
2022.12/9(金)19:00 東京文化会館(小)
問:全音楽譜出版社03-3227-6280
https://www.zen-on.co.jp/rent_news/221209_concert_c/

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