フランソワ・ルルー(指揮/オーボエ) 日本フィルハーモニー交響楽団

初共演のコンビで聴く、オーボエとアンサンブルの魅力

フランソワ・ルルー (c)ThomasKost

 現代を代表するトップ・オーボイスト、フランソワ・ルルーがバイエルン放送響にいた頃、筆者はミュンヘンにいて演奏によく接したものだが、彼の音にはドイツものにもしっかり馴染む落ち着きや風格があった。近年は人気奏者のドリームチームともいうべきレ・ヴァン・フランセで聴いているが、アンサンブルに抜群の安定感を与える彼の演奏には、オーボエという楽器からは想像しにくい馬力や芯の強さがある。音楽の性格に沿って発揮されるこうした存在感に、トップ奏者たるゆえんを感じる。

 そのルルーが、近年は指揮者としても急速に活動範囲を広げている。2022/23のシーズンだけで、スウェーデン室内管、ケルン放送響、スコットランド室内管、バーミンガム市響、ハンガリー国立フィル、チロル響とヨーロッパを股にかけた活躍ぶりだ。音楽を根っこから掴んでくる能力は、指揮者としても発揮されているのだろうと筆者は予想している。

 そんな予想を確かめる機会が11月にやってくる。日本フィルを相手に、指揮・吹き振りを披露してくれるのだ。ドヴォルザークがピアノ曲に充実したオーケストレーションを施した「伝説」より第1、8、3曲。メインにはメロディアスで推進力に溢れたビゼーの交響曲第1番をチョイス。

 オーボエの妙技もたっぷりと楽しめる。素朴な旋律に溢れたドヴォルザーク「管楽セレナーデ」では、日本フィル・メンバーとともに安定感あるアンサンブルを織り、モーツァルトのオーボエ協奏曲では、力強く輝かしい音色をホールいっぱいに響かせるだろう。
文:江藤光紀
(ぶらあぼ2022年11月号より)

第745回 東京定期演奏会〈秋季〉
2022.11/18(金)19:00、11/19(土)14:00 サントリーホール
問:日本フィル・サービスセンター03-5378-5911

https://japanphil.or.jp