名手が紡ぐ王道のドイツ・プログラム
意欲的かつ先鋭的な演奏活動の一方、後進の指導にも力を注ぐピアノの俣野修子が、様々な楽器の名手たちと共演を重ねる室内楽シリーズ“楽興の時 plus”。今回は、俣野との共演経験も多い、チェロの上村昇を迎えてのデュオリサイタルで、ベートーヴェンを軸としてドイツの傑作を紡ぐ。
ジュネーヴ音楽院在学中からスイスやフランスなどで演奏活動を展開し、帰国から40年近くにわたって、リサイタルや国内外の実力派との共演を重ねる俣野。様々なコンセプトに基づく、多くの演奏会シリーズにも取り組んでいる。一方の上村は1979年、カサド国際チェロ・コンクールを制して以来、日本を代表する名手として活躍を続けている。
ステージでは、楽聖が書いた佳品「モーツァルトの《魔笛》の主題による12の変奏曲」「ソナタ op.69」と、濃密な歌心に満ちたシューマン「幻想小曲集 op.73」(チェロ版)、ベートーヴェンら先人からの影響が色濃いブラームス「ソナタ op.38」を披露。ピアノとチェロの深遠なる対話に耳を傾けたい。
文:笹田和人
(ぶらあぼ2022年10月号より)
2022.10/1(土)15:00 京都/青山音楽記念館 バロックザール
10/23(日)14:00 東京文化会館(小)
問:プロアルテムジケ03-3943-6677
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