俊英たちが奏でる室内楽の傑作群を味わう
共にベルリン芸術大学で学んだ石原悠企(ヴァイオリン)と野上真梨子(ピアノ)、現在も同大学で研鑽を積む藤原秀章(チェロ)という3人の俊英が集結。フェリックス・メンデルスゾーンの室内楽の珠玉の作品を選りすぐったステージ「ベルリン便り メンデルスゾーンが聴きたい」を開く。
メインには、30歳だった1839年に作曲され、魅力的な旋律と緻密な書法に彩られた傑作ピアノ三重奏曲第1番を据えた。ほぼ同時期に作曲され、20世紀になって再発見されたヴァイオリン・ソナタ ヘ長調は今回、新校訂のオリジナル版で演奏。「どの楽章も、メンデルスゾーンらしい魅力に溢れています」と石原は言う。
続いて披露されるのが、1843年作曲のチェロ・ソナタ第2番。藤原は「ポジティブなエネルギーに溢れ、大好きな曲」と語る。さらに、野上がピアノ独奏のための「無言歌集」からの小品を添える。メンデルスゾーン円熟期の優れた筆致を、瑞々しい秀演で、たっぷりと楽しめる貴重な機会。ぜひ体感してみたい。
文:笹田和人
(ぶらあぼ2022年8月号より)
2022.9/10(土)14:00 サントリーホール ブルーローズ(小)
問:新演コンサート03-6384-2498
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