東京春祭 子どものためのワーグナー《ローエングリン》ができるまで Vol.3

東京・春・音楽祭が贈る子どものためのプログラム「東京春祭 for Kids」。毎年、未就学児から高校生までの幅広い年代を対象とした様々な企画が組まれています。その中でも一際注目を集めているのがドイツ・バイロイト音楽祭との提携公演「子どものためのワーグナー」。バイロイト音楽祭総裁のカタリーナ・ワーグナー氏を芸術監督に迎えて、一流のスタッフとアーティストが、ワーグナーの長大な作品をギュッと凝縮したハイライト版を作り上げます。例年完売公演が続出する人気プログラムで、東京・大手町にある銀行のロビー・スペース(!)を舞台に開催されます。遠方の方や外出が難しい方も、ライブ・ストリーミング配信で視聴可能です(3/25, 3/26の2公演)!!
連載『東京春祭 子どものためのワーグナー《ローエングリン》ができるまで』では、他では見られない貴重な制作過程をご紹介しながら、2022年に上演する《ローエングリン》の魅力をたっぷりお届けします。

銀行ロビーに舞台が出現!?

取材・文:宮本明

 「子どものためのワーグナー」は、その上演会場も大きな特徴のひとつだ。バイロイトでは祝祭劇場の稽古場を利用して上演されているプロダクション。東京でも、「劇場ではない場所」を探して行き着いたのが銀行のロビーだった。大手町の三井住友銀行東館ライジング・スクエアの1階「アース・ガーデン」は、「触れる地球」という不思議なデジタル地球儀の展示もあって、一般にも公開されているオープン・スペース。天井の高い開放的な空間を生かしてロビー・コンサートなども開催されている。「子どものためのワーグナー」の期間は毎年、ここが小さなオペラ劇場に変身する。
 今年は3月12日に会場の設営が行なわれた。朝9時から夕方6時まで、9時間をかけてビジネス街のど真ん中に現れたのは……。なんということでしょう! 客席のすぐ目の前に小さな舞台。その舞台越しにオーケストラが座るひな壇が見える、特殊な構造のオペラ劇場。銀行ロビーが舞台空間に変わる、そのビフォーアフターの一部始終がタイムラプスで確認できる。
 これから初日までおよそ2週間。おおぜいの銀行マンたちが働くオフィスビルのすぐ足元で、白熱したオペラの稽古が繰り広げられる。
(Vol.4につづく)

銀行ロビーのオープン・スペースに…
写真提供:東京・春・音楽祭実行員会
オリジナルの舞台が出現しました!
写真提供:東京・春・音楽祭実行員会

【Information】
東京春祭 for Kids
子どものためのワーグナー《ローエングリン》(バイロイト音楽祭提携公演)

2022.3/25(金) 19:00
3/26 (土)、3/27(日)、4/2(土)、4/3 (日)各日14:00
三井住友銀行東館ライジング・スクエア1階 アース・ガーデン

●出演
指揮:石坂宏
ローエングリン(テノール):片寄純也
エルザ(ソプラノ):田崎尚美
テルラムント(バリトン):友清崇
オルトルート(メゾ・ソプラノ):金子美香
ハインリヒ王(バス):斉木健詞
管弦楽:東京春祭オーケストラ
児童合唱:杉並児童合唱団
児童合唱指導:津嶋麻子、海野美栄
監修/芸術監督:カタリーナ・ワーグナー
照明:ピーター・ユネス
演出助手:ヘンドリク・アーンス
●曲目
ワーグナー:歌劇《ローエングリン》(抜粋)
※台詞部分は日本語、歌唱部分はドイツ語での上演です。
●料金(税込)
子ども¥2,500 保護者¥3,500
ライブ・ストリーミング配信¥1,100(3/25, 3/26)

【来場チケット販売窓口】
●東京・春・音楽祭オンライン・チケットサービス(web。要会員登録(無料))
https://www.tokyo-harusai.com/ticket_general/
●東京文化会館チケットサービス(電話・窓口)
TEL:03-5685-0650(オペレーター)