10〜11月に欧州ツアー敢行
バッハ・コレギウム・ジャパン(BCJ)が、3月14日、オンライン記者発表をおこない、2022/23シーズンの定期演奏会ラインナップを発表、あわせて今年秋にヨーロッパツアーが実施されることも明らかになった。1992年に定期演奏会をスタートしてからちょうど20年の節目を迎えるBCJ。会見に出席した音楽監督の鈴木雅明と首席指揮者の鈴木優人が、概要を紹介した。
定期演奏会は、東京6演目7公演、神戸3公演。4月中旬の受難週に開催される恒例のJ.S.バッハ「マタイ受難曲」で幕を開ける。エヴァンゲリストを務めるトマス・ホッブス(テノール)や、欧州古楽シーンで活躍目覚ましいハナ・ブラシコヴァ(ソプラノ)ら、海外から招聘するソリストたちの来日の目処も立っているという。その他、初挑戦というハイドン「天地創造」、モーツァルト「レクイエム」といった名曲もとりあげられる。レクイエムは、CD録音と同様、ジュスマイヤーとアイブラーの補筆に、さらに鈴木優人が校訂を加えたオリジナル版での演奏。一方、BCJの面目躍如とも言える教会カンタータ・シリーズで、演奏機会が多くない作品がとりあげられるのも、古楽ファンにとっては嬉しいところだ。第11番(別名「昇天祭オラトリオ」)、「レコーディング以来一度も再演していない」(鈴木雅明)という第130番、ヴァイオリンなしでヴィオラ4本というレアな編成による第18番、鈴木優人が「全カンタータのなかでもっとも好きなアリア」があるという第127番など、いずれも聴き逃がせない。
BCJのヨーロッパツアーは、2020年3月、コロナの感染拡大初期に、ツアーが途中のケルンで打ち切りとなっていた経緯があり、今年秋のツアーは、いわばその「リベンジ」的な意味合いもあるという。10月下旬から11月中旬にかけて、ポーランドを皮切りに、ドイツ、スイス、ベルギー、スペイン、オランダ等を巡る予定。Aプロは「ミサ曲ロ短調」、カンタータを主体としたBプロのオール・バッハ・プログラムが組まれた。
◎バッハ・コレギウム・ジャパン ヨーロッパツアー2022 日程
10/30 ポーランド国立音楽フォーラム(ポーランド・ヴロツワフ)B
11/1 ケルン・フィルハーモニー(ドイツ・ケルン)B
11/4 デュッセルドルフ・トーンハレ(ドイツ・デュッセルドルフ)A
11/6 ローザンヌ・聖フランソワ教会(スイス・ローザンヌ)B
11/8 DeSingel(ベルギー・アントワープ)B
11/10 スペイン国立音楽堂(マドリッド・スペイン)A
11/12 アマーレコンサートホール(ハーグ・オランダ)A
(他ウィーン、パリでも公演予定)
次シーズンには、新たな試みも。作曲家バッハをコンセプトとした「ホテルグランバッハ」を東京(銀座)、熱海、仙台、京都で運営する株式会社グリーンハウスが、BCJと4月1日付でパートナーシップを締結。この日の会見にも関係者が出席していたが、BCJ関係者や賛助会員への宿泊優待サービスなどのサポートをおこなうほか、同社が実施しているコンサートやイベントへのBCJの出演などを予定。対外発信においてもコラボレーションをおこなっていくという。今後の展開が楽しみだ。
コロナ禍で演奏活動が制限されたこの数年だが、鈴木雅明はそのなかにあっても、ポジティブなメッセージを感じ取ることができたと語る。
「BCJでの計画もキャンセルや延期になってしまったのですが、一方でいろいろな制約のなかでも国内での演奏活動は続けてこられたことに感謝しています。このような、ある意味緊迫した状況のなかで、改めてバッハやそのほかの音楽のメッセージをより強く受け取ることができました」
11月には、鈴木優人の「平均律クラヴィーア曲集第1巻」の録音にあたっては、トッパンホールとベルリンのテルデックのスタジオをつないでリモート・レコーディングが実現するなど、コロナ禍だからこその新たな展開もみられた。
現在の2021/22シーズンは、今月19〜21日の3公演(神戸・所沢・東京)を残すのみとなった。BCJ初となるバッハの3台のチェンバロのための協奏曲を演奏し、新しい楽器お披露目も予定されている。
バッハ・コレギウム・ジャパン
https://bachcollegiumjapan.org