清新に躍動し、春を誘う楽聖の2大傑作
若手演奏家をソリストに迎える「フレッシュ名曲コンサート」。3月に開催される公演には、ヴァイオリンの戸澤采紀が登場する。彼女は、2016年の第85回日本音楽コンクールで15歳にして最年少優勝を果たし、17年のティボール・ヴァルガ国際ヴァイオリンコンクールでも最高位(第2位)を獲得した逸材。すでに読響、東京シティ・フィル等の著名楽団と共演し、堂々たる演奏を披露している。しかも現在リューベック音楽大学で古楽にも通じた実力者ダニエル・ゼペックに師事。この点が更なる進化を予感させる。指揮は鈴木優人。バッハ・コレギウム・ジャパンや読響等にポストを持ち、鍵盤楽器演奏やプロデュース等々、モダンと古楽を縦断した多彩な活躍が際立つ才人だ。オーケストラは音楽監督ジョナサン・ノットのもとで充実を極める東京交響楽団。すべてに生気が漲る魅惑の布陣といえるだろう。
演目は、ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲と交響曲第7番という極上の名曲2つ。まずは、艶やかな音色で生き生きとした音楽を奏でる戸澤が、優美かつ大スケールの傑作をいかに歌い上げるか? ドイツ留学の成果も含めて大いに注目される。むろん両曲を通じて、独自の視点を持つ鈴木と精緻な彫琢が持ち味の東響が展開するベートーヴェン演奏に耳目が集まるのは言わずもがな。特に交響曲第7番の清新なリズム処理や躍動感に期待したい。
会場のめぐろパーシモンホールはキャパ1200席なので、通常以上に鮮烈な響きを味わえること必至。生体験するには絶好だし、本公演はライブ配信も行われるので、幅広い層に触れてほしい。
文:柴田克彦
(ぶらあぼ2022年3月号より)
※当公演は、公演関係者に新型コロナウイルスの濃厚接触の可能性がある旨が判明したため、出演者が変更となりました。
指揮:鈴木優人 → 太田弦
ヴァイオリン:戸澤采紀 → 髙木凜々子
詳細は下記ウェブサイトでご確認ください。(3/4主催者発表)
2022.3/5(土)15:00 めぐろパーシモンホール
問:めぐろパーシモンホールチケットセンター03-5701-2904
https://www.persimmon.or.jp