【CD】It would be fantastic/林裕人

 名古屋フィルの奏者およびソリストとして活躍する林裕人のソロ・デビュー・アルバム。全体にテューバで無理をした感がまったくなく、温かく柔らかな音色によるナチュラルな音楽が続いていく。ヤコブセンやクーツィール等のテクニカルなナンバーでの鮮やかさと、ヴォーン・ウィリアムズ等での情感豊かな歌の双方を楽しめるし、「イタリア協奏曲」の軽快な動きや、「愛のあいさつ」(指揮者の川瀬賢太郎がピアノを担当)の優しい表現にも魅せられる。新居由佳梨のピアノもバランスの良い合わせ。独奏楽器としてのテューバの魅力に気づかされる、聴き応え十分の一枚だ。
文:柴田克彦
(ぶらあぼ2022年3月号より)

【information】
CD『It would be fantastic/林裕人』

ヘンデル(ヒルガース編):協奏曲 ト短調/ヤコブセン:テューバ・ブッフォ/ヴォーン・ウィリアムズ:イギリス民謡による6つの練習曲/J.S.バッハ:イタリア協奏曲第3楽章/クーツィール:コンチェルティーノ/エルガー:愛のあいさつ 他

林裕人(テューバ)
新居由佳梨 川瀬賢太郎(以上ピアノ)

妙音舎
MYCL-00025 ¥3300(税込)