芸劇リサイタル・シリーズ「VS」Vol.2 山下洋輔 × 鈴木優人

ジャンルを越えた2人の“熱狂ヴァーサス”

 東京芸術劇場が昨年12月から新しく立ち上げたリサイタルシリーズ、それが「VS」(ヴァーサス)だ。異なる個性を持つピアニスト2人がぶつかり合い、ライブならではの熱狂性を味わえる好企画で、第1弾となった「反田恭平×小林愛実」が大評判となったばかり。第2弾「山下洋輔×鈴木優人」は一見、意外な組み合わせに思えるかもしれないが、両者とも麻布学園出身で音楽家になったという共通点から意気投合。独奏者と指揮者という間柄で何度となく共演を重ねてきた。

 そんな2人が2台ピアノで初共演したのは2017年の仙台。わずか15分ほどの演奏時間だったが、鈴木が「ライフ・チェンジング・イベントでした!」と回顧するほど、彼の人生にとって大きな出来事になったという。そもそも鈴木は東京藝大で作曲科を卒業するだけでなく、留学先のオランダでは即興演奏科を栄誉賞付きで修了。実は即興演奏のスペシャリストなのだが、残念ながらこれまではその能力の一部しか発揮する場がなかった。ところが懐の深い山下は「なんでも好きにやってごらん!」と言わんばかりに音楽を投げかけ、鈴木の潜在能力を見事に引き出してしまったのだ。そんな幻の共演が、遂に一晩のコンサートとなって帰ってくるというのだから絶対に聴き逃がせない!

 曲目はバッハ、ジャズスタンダード、山下のオリジナル……とソロとデュオを交えてバラエティ豊か。メインとなる「ラプソディ・イン・ブルー」が両者の即興演奏によって、どう姿を変えてゆくのか。こればかりは本番を迎えてみないと演奏者2人にもわからないようだ!
文:小室敬幸
(ぶらあぼ2022年2月号より)

※当公演は、公演関係者に新型コロナウイルスの濃厚接触の可能性がある旨が判明したため、中止することになりました。あわせて本公演は、3月31日(木)19時開演にて振替公演を開催いたします。(3/4主催者発表)

【延期】2022.3/31(木)19:00 東京芸術劇場 コンサートホール
2022.3/4(金)19:00 東京芸術劇場 コンサートホール
問:東京芸術劇場ボックスオフィス0570-010-296 
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