鈴木大拙・西田幾多郎生誕150周年記念 全国共同制作 オペラ《禅》〜ZEN〜(世界初演)

日本が誇る禅の奥深い世界を紐解く新作オペラ

 海外の芸術家から「ZEN」の一語を聞くことが多い。「京都で座禅したわ」と教えてくれた大ソプラノもいた。日本文化の象徴として、禅の心は世界中で認められている。

 来年1月に、金沢歌劇座で世界初演されるオペラ《禅〜ZEN〜》(作曲:渡辺俊幸、台本:松田章一)は、仏教学者の鈴木大拙と、彼の良き友人の哲学者、西田幾多郎の生誕150年を記念する一作。ドイツの指揮者で日本でもお馴染みのヘンリク・シェーファーとオーケストラ・アンサンブル金沢の演奏のもと、著名な邦人歌手たちが深遠なドラマに挑むという。

 今回まず注目すべきは、テノールの中鉢聡(大拙)とバリトンの今井俊輔(幾多郎)の顔合わせ。柔らかい声質に悲愴感を忍ばせる中鉢と、声の圧がびんびんと鳴り渡る今井の対話が、どのようなインパクトをもたらすか。大拙の妻ビアトリス役、コロン・えりかの涼やかなソプラノと、ビアトリスの母エマ役、鳥木弥生の濃密なメゾソプラノも対照的で面白そう。乞うご期待!
文:岸純信(オペラ研究家)
(ぶらあぼ2021年12月号より)

2022.1/23(日)14:00 金沢歌劇座
問:石川県立音楽堂チケットボックス076-232-8632 
https://www.kagekiza.gr.jp

他公演 
2022.2/6(日) 高崎芸術劇場(027-321-7300)