京都市交響楽団が2022年度ラインナップを発表

 京都市交響楽団が11月26日、本拠地の京都市コンサートホール内で記者発表会をおこない、2022-23シーズン(2022年4月〜23年3月)のラインナップを発表した。

左より:近藤保博(エグゼクティブプロデューサー)、ジョン・アクセルロッド
川本伸治(演奏事業部長)、福田悠介(管理部長) (c) 京都市交響楽団

 会見には、第662回定期のために来日中の首席客演指揮者ジョン・アクセルロッドも出席。来季は2公演に登壇する。初回は、マーラーの交響曲第2番「復活」(2022.9/24, 9/25)。ソリストにテオドラ・ゲオルギュー(ソプラノ)、山下牧子(メゾソプラノ)を迎えて、京響コーラスともに、ポストコロナの世界に向けて、“再生”を象徴するような大編成の傑作シンフォニーを高らかに謳い上げる。アクセルロッドはハーバード大学卒業後、レナード・バーンスタインやイリヤ・ムーシンに師事しているが、「復活」はまさにバーンスタインのもとで学んだ作品とのことで、「コロナ禍を経たいま演奏するのに意味のあるプログラム。京響と自分の固い絆を示せる」と選曲の理由を語った。2度目の登壇は、23年3月。「私自身最も好きな作品」というガーシュウィン「パリのアメリカ人」、コルンゴルトのヴァイオリン協奏曲(独走:三浦文彰)、ストラヴィンスキー「春の祭典」、バーバー「弦楽のためのアダージョ」とアメリカゆかりの作曲家による作品を選んだ。また、アクセルロッドは「ヤング・ピープルズ・コンサート」シリーズ、札幌のパシフィック・ミュージック・フェスティバル(PMF)など教育活動にも尽力したバーンスタインに倣って、「師から学んだことを多くの人に伝えていきたい」と客演指揮者として教育的な側面にも力を入れていく意向も示した。

 11演目17公演が予定されている定期では、初来日となるポーランド出身のミハウ・ネステロヴィチがブラームスの交響曲第1番やメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲(独奏:郷古廉)をとりあげるほか、マカオ出身のリオ・クオクマンによるガーシュウィン「ラプソディー・イン・ブルー」弾き振りやニコラ・アルトシュテットのシューマン「チェロ協奏曲」弾き振り、1976年に京都市によって委嘱された三善晃作品の再演(指揮:沼尻竜典)など、注目のプログラムが予定されている。ソリストでは、ヨーロッパの若手チェリスト筆頭格の一人、カミーユ・トマがサン=サーンスの協奏曲第1番を演奏するほか、小谷口直子(クラリネット)ら京響メンバーがソリストを務めるのも楽しみだ。
 来季の新しい試みとして、定期演奏会の一部について「フライデー・ナイト・スペシャル」と題し、金土開催とした。金曜夜は、翌土曜日の定期で演奏されるプログラムの中から一部の作品をピックアップし(別の作品のカップリングがある場合もあり)、19時半開演で休憩なしの約1時間のプログラム。20時半の終演後にお酒や食事を楽しんでもらえるような来場スタイルを想定しており、主に学生や20代の社会人など若年層をターゲットとしているという。

 デニス・ラッセル・デイヴィスがタクトを執る「第九」などの特別演奏会のほか、オーケストラを身近に感じてもらうことを趣旨に掲げた「オーケストラ・ディスカバリー」4公演、大人も子どもも楽しめる「みんなのコンサート」3公演では、それぞれテーマが定められ、各指揮者が工夫を凝らしたプログラムが並ぶ。原田慶太楼、太田弦、水戸博之、横山奏、キハラ良尚といった話題の若手指揮者の登用も特徴的。

(c) 京都市交響楽団

  なお、現常任指揮者兼芸術顧問の広上淳一は、来年3月をもって退任が決定しているが、現時点で後任は未定で、2022年度後半に次期常任指揮者が発表される予定。コロナ禍により、予定していた候補指揮者の来日が叶わず共演の機会が限られたことが選考にも影響した形で、次なるステージへ向けてじっくりと体制を整えていく2022-23シーズンとなる。

京都市交響楽団
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