初演者直伝のドビュッシー、そしてクロイツェルへの意欲
世界中から敬意を集める名ヴァイオリニスト、ジェラール・プーレ。83歳の現在も現役の名手である。母国フランスと日本の両方をほぼ均等に拠点としており、この状況下でも接する機会に恵まれているのは嬉しい。筆者は今年、アマチュア楽団との共演を聴けたが、無二の音色と表現、力みの無い美音が響きわたる様に心底感服させられた。
11月公演では、作曲家自身のピアノとジェラールの父ガストン・プーレのヴァイオリンで1917年に初演された傑作、ドビュッシーのヴァイオリン・ソナタを追求する。父親直伝の演奏と、作品の誕生や初演にまつわるエピソードを語る対談(プーレ、共演ピアニストの川島余里、音楽プロデューサーの志風敦雄)が予定されている。さらに、ベートーヴェンの大作「クロイツェル・ソナタ」が取り上げられるのも注目だし、ほかにもスメタナの名品「我が故郷より」(2楽章制)や小品など、いずれもプーレならではの瑞々しい歌とセンスにあふれた至芸を体験できるだろう。
文:林 昌英
(ぶらあぼ2021年11月号より)
2021.11/24(水)14:00 18:30 日経ホール【配信あり】
問:日経公演事務局03-5227-4227
https://stage.exhn.jp
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