「鳥」をメインテーマに時空を超えた音楽の旅
天空を自在に舞う、時を告げる、さらにミステリアスな鳴き声で魅了する…。鳥の姿や鳴き声、営みを鮮やかに描きだそうとする異色のコンサートである。
フランスで学んだ気鋭の奏者、塙美里がB→Cに登場。バッハから現代まで、鳥がテーマの作品を中心に意欲的なプログラムを組んだ。2曲をのぞき、フルートとクラリネットが混ざったような、彼女ならではのソプラノ・サクソフォンの音色を味わえるのも魅力だ。鳥の生態が浮き彫りにされたメシアンの「黒つぐみ」、ヴィラ=ロボスの少々けだるく懐かしい響きの「黒鳥の歌」があるかと思えば、田中カレンの「Night Bird」ではエレクトロニクスを用いて野心的な一面も見せてくれる。フランスの現代作曲家アラのアルト・サクソフォンと電子音響のための「鳥」は、激しさと神秘的な側面を合わせ持つ曲だという。池辺晋一郎の「沈黙… おや、どこやらでほととぎす」など楽しい曲もラインナップ。共演のピアノはAKI マツモト。
文:伊藤制子
(ぶらあぼ2020年1月号より)
2020.1/21(火)19:00 東京オペラシティ リサイタルホール
問:東京オペラシティチケットセンター03-5353-9999
https://www.operacity.jp