本條秀慈郎が導く邦楽×現代音楽の世界——横浜みなとみらいホール「Just Composed 2026」

本條秀慈郎 ©TAMAKI YOSHIDA

 横浜みなとみらいホールが主催する「Just Composed in Yokohama —現代作曲家シリーズ—」は、気鋭の作曲家への新作委嘱や再演を通して、現代の創造の最前線を示し続けてきた連続企画だ。

 来る3月の公演は、委嘱作曲家の選定委員を務める本條秀慈郎と、彼を中心とする演奏グループJ-TRAD Ensemble MAHOROBAが出演する。秀慈郎は三味線の名手として邦楽の可能性を国際的視野で探求し続けており、今回は尺八の川村葵山、箏・二十五絃箏の木村麻耶、邦楽囃子の堅田喜三郎とともに、日本の伝統的な「音の精神」をテーマに据え新時代の邦楽の形を提示する。邦楽奏者のみの演奏会もシリーズ初となる。

 邦楽の伝統的な響きを現代音楽の文脈で再構築したプログラムも刺激的だ。ハイライトはドイツ在住の岸野末利加による委嘱新作「波紋」(Ripples)で、三味線、尺八、二十五絃箏、囃子というユニークな編成の作品。酒井健治の「Wavering」は三味線独奏による改訂版初演、藤家溪子の「風神」は秀慈郎による尺八・三味線/胡弓・二十五絃箏への編曲版で、それぞれ旧作を新しい視点から編みなおす。他に北爪道夫「螺旋」、望月京「ぎんの音」、松平頼暁「デュオローグ」といった同時代音楽を牽引してきた作曲家の作品を並べ、揺らぎ、風、螺旋といった邦楽器独特の表現と対話を通して現代音楽の諸相を探る。その現在地を体感したい。

 また藤家作品では、秀慈郎が三味線を持ち替えて胡弓を演奏する点も注目だ。胡弓の柔らかで粘り気のある音色が他の邦楽器との対比によって表現空間をどう深めていくのだろうか。

文:江藤光紀

(ぶらあぼ2026年3月号より)

Just Composed 2026 in Yokohama ―現代作曲家シリーズ―
「日本音楽のハイブリッド ポート」
2026.3/14(土)15:00 横浜みなとみらいホール(小)
問:横浜みなとみらいホールチケットセンター045-682-2000
https://yokohama-minatomiraihall.jp