小曽根 真(ピアノ)& 児玉 桃(ピアノ)

2人のピアニストと打楽器奏者が繰り広げるスリリングなステージ

 小曽根真と児玉桃。ジャズとクラシック、それぞれの感性とともにガッチリ組み合った2台ピアノで、初共演以来、刺激的な名演を生んできた。
 そんな二人による今度のツアーのメインは、バルトーク「2台のピアノと打楽器のためのソナタ」。小曽根は2016年にオーケストラ版を初めて弾いてから、再演の機会を窺っていたという。

「2018年、桃さんとのデュオの機会に打楽器を入れて演奏できることになりました。打楽器の2人とも初共演なのにすぐに意気投合し、一度ではもったいないと今回の企画が実現したのです。4人で繰り広げるスリリングなやりとりからは、ジャズに通じるライヴ感を味わえるでしょう」

 共演の打楽器奏者は西岡まり子と大場章裕。児玉もまた、メンバーに絶大な信頼を寄せる。

「人間的にも音楽的にも共感できる仲間です。この曲では、ピアノが打楽器のようにリズムを刻み、打楽器が音色を作るなど、逆の役割を持つところもあります。4人が火花を散らす中、前回とは違うことが起きるはずです」

 一方、前半は2人のソロ。児玉はショパンで後半とは一味違った世界を届ける。
「バルトークが自然の世界を描いたのに対し、ショパンは繊細な音楽で人間の心情を表しました。ベルカントの奏法による、ピアノでしかできない表現も多くあります」

 児玉のマズルカやスケルツォに続くソロで、小曽根は「桃さんの演奏から得るインスピレーションのもと、さまざまな感情が内包されたショパンの美しさを自分なりにインプロヴィゼーションで表現したい」と話す。

 共演を重ねる中、お互いどんなことを感じているのだろうか。
「桃さんは正統派クラシックのアーティストですから、最初はどう受け入れてくれるだろうと緊張しましたが、音楽的なキャパシティが広く、アドリブにも挑戦してくれました。クラシックの演奏については、フレーズ、ニュアンスなど教えられることがたくさんあります」(小曽根)
「私にとって、ジャズは憧れながら近づけないところがありましたが、小曽根さんとの共演でその場で生まれる即興を体験し、クラシックにも取り入れられるようになりました。彼は常に新しい表現、音色を追求しているので、一緒に実験的な表現に挑むことができます。彼はコード(ハーモニー)の土台があるからこそ、私も自然と即興ができるのです。また作曲家の視点から、原曲を尊重したアレンジをされます。揺るぎないベースがあるからこそ、何が起こるかわからない音楽が生まれるのです」(児玉)

 常に刺激を与え合う二人。今回も鮮烈なアンサンブルに期待できそうだ。
取材・文:高坂はる香
(ぶらあぼ2019年12月号より)

小曽根 真 × 児玉 桃 スペシャルコンサート
2020.2/8(土)14:00 やまと芸術文化ホール(大和市文化創造拠点 シリウス内)
問:やまと芸術文化ホール チケットデスク046-263-3806 
https://www.yamato-bunka.jp/hall/

他公演
2020.2/11(火・祝)穂の国とよはし芸術劇場PLAT(0532-39-3090‍)
2/21(金)ハーモニーホールふくい(小)(0776-38-8282)
2/23(日)シンフォニア岩国(0827-29-1600)