ジョン・アクセルロッドと東西の若き才能が描く「アメリカ」
――第15回音楽大学フェスティバル・オーケストラ

ジョン・アクセルロッド ©Stefano Bottesi

 首都圏の音楽大学の交流を目的に始まった毎年秋の「音楽大学オーケストラ・フェスティバル」。この特別編として、各大学の選抜メンバーで構成されるのが、春に開催される「音楽大学フェスティバル・オーケストラ」である。

 15回目を迎える今回は、関西の音大フェスの協力のもと京都市立芸大、相愛大のメンバーも参加。首都圏8音大+関西2音大からなる音楽大学選抜オーケストラが誕生した点も魅力となる。

 指揮はジョン・アクセルロッド。音の輪郭を明晰に整えつつ色彩を鮮やかに引き出し、最後は楽団員を完全燃焼へ導く推進力に定評がある。彼はバーンスタインから学び受け継いだ遺産を、若き音楽家たちと分かち合うことに喜びのメッセージを寄せており、熱演が期待できる。

 プログラムは20世紀アメリカ音楽の魅力を凝縮したオール・アメリカン。バーンスタイン「キャンディード」序曲は、薫陶を受けた指揮者ならではの解釈が聴きどころだ。コープランドのバレエ組曲「アパラチアの春」は、開拓民の素朴で温かな世界を描くアメリカ版“田園”。ドアティ「ルート66」(日本初演)は管弦・打楽器のシンコペーションが疾走する“交響的ロードトリップ”で、溌剌とした演奏が映える。ガーシュウィン「パリのアメリカ人」は旅の高揚と街の喧騒を洒落たリズムで描く快作である。

 若きエネルギーとアクセルロッドの推進力が出会うとき、音楽はさらに瑞々しく躍動するはず。春のステージに立ち上がる“いま、この瞬間のアメリカ”を体感したい。

文:長谷川京介

東京芸術劇場&ミューザ川崎シンフォニーホール共同企画 第15回音楽大学フェスティバル・オーケストラ
2026.3/28(土)15:00 東京芸術劇場 コンサートホール
問:東京芸術劇場ボックスオフィス0570-010-296 
https://www.geigeki.jp
2026.3/29(日)15:00 ミューザ川崎シンフォニーホール
問:ミューザ川崎シンフォニーホール044-520-0200 
https://www.kawasaki-sym-hall.jp


長谷川京介 Kyosuke Hasegawa

ソニー・ミュージックにてクラシックCDの企画・制作を担当するプロデューサーとして勤務。
退職後は音楽評論家として活動し、「ぶらあぼ」「音楽の友」「毎日クラシックナビ・速リポ」などにコンサート評や記事を執筆。
コンサート・プログラムやCD解説の執筆も手がける。
ミュージック・ペンクラブ音楽賞選考委員。個人ブログ「ベイのコンサート日記」は年間40万回を超えるアクセスを集めている。