古楽器とメディアアートが奇才の生涯を映し出す 〜視覚と聴覚で愉しむ「北斎物語」

小川加恵

 芸術史を広く探っていると、意外な人物同士が同時代人だったと気づかされることがある。たとえば葛飾北斎(1760-1849)はモーツァルトと同世代で、ショパンと同じ年に亡くなっている。欧州でピアノが普及・定着してゆく頃、遥か東方で驚くべき活躍を続けたこの奇才画人をモチーフに、語りとコンテンポラリーダンスに映像を交えた次世代型の古楽器演奏ステージがあるという。

 仕掛人は古楽をメインフィールドに、音楽とメディアアートを組み合わせた企画で注目を集める鍵盤楽器奏者の小川加恵。多角的なソロ活動の他、K-BALLET Opto『踊る。遠野物語』ツアー出演も記憶に新しい奥山ばらばをダンサーに迎え、音楽や視覚表現を交えた詩作を手がける久世孝臣が語り役を務める。彼らの共演を得て、18〜19世紀当時知られていたチェンバロやフォルテピアノを含む古楽器アンサンブルが奏でるラモーやC.P.E.バッハ、ショパンら「北斎と同時代の音」を聴く体験は、21世紀の今ならではの贅沢な歴史探訪となるだろう。

文:白沢達生

(ぶらあぼ2026年3月号より)

HOKUSAI 葛飾北斎物語
2026.3/14(土)14:00 戸塚区民文化センター さくらプラザ・ホール
問:戸塚区民文化センターさくらプラザ 045-866-2501
https://totsuka.hall-info.jp