現代音楽シーンを牽引するパーカッショニスト、加藤訓子の2026年はライヒ、ペルトにフォーカス

©Michiyuki Ohba

 加藤訓子は現代音楽シーンで活躍する世界的な打楽器奏者として、演奏・企画・次代の育成を横断する独自の活動を展開してきた。2026年も明確なコンセプトで多面的なプロジェクトに挑む。

 3月はまずクセナキス作品を軸に、打楽器というメディアの身体性と空間性を極限まで押し広げるパフォーマンスを各地で繰り広げる一方、青山音楽記念館の公演ではマリンバ独奏でバッハに立ち返り、伝統の美と精神に光を当てる。

 ゴールデンウィークには、次世代演奏家育成を目的としたアーティスト・インキュベーション・プロジェクト〈INC.〉の10周年を記念するリサイタル&ワークショップを開催する。横断的な演奏プログラムと実践的な学びの場を併せ持つこの企画は、加藤の活動が単なる演奏の枠を超え、未来への散種となっていることを物語る。

 そして2026年のハイライトとなるのが、秋から冬をメインに行われる〈REICH / PÄRT 90〉プロジェクトである。スティーヴ・ライヒとアルヴォ・ペルトという現代音楽を代表する二人の巨匠が、昨年から相次いで生誕90年を迎えることを記念し、加藤の編曲(彼女にのみ特別に与えられた許諾に基づく)によって二人の対照的な美学を提示する。ライヒの「DRUMMING」「2×4×6」「QUARTET」などの躍動感と、ペルト作品に通底する沈黙と祈りが並置されることで、現代音楽の射程が鮮やかに浮かび上がるだろう。自らの育成プログラムを通じて経験を積んだ若手たちを含むメンバーと各地を巡るこのプロジェクトは、東京発の文化的成果を国内外へと波及させる意欲的な本シーズンの到達点を示すことになろう。

文:江藤光紀

(ぶらあぼ2026年3月号より)


加藤訓子(パーカッション) META XENAKIS & REICH / PÄRT 90
ミュージックシアター『PSAPPHA(プサッファ)』

2026.3/25(水)19:00 愛知県芸術劇場(小)

3/28(土)14:00 ロームシアター京都 サウスホール

加藤訓子 バッハを弾く。
3/29(日)14:00 京都/青山音楽記念館バロックザール

META XENAKIS -メタ・クセナキス-
3/31(火)14:00 FSXホール(くにたち市民芸術小ホール)

INC. PERCUSSION DAYS 2026
5/2(土) 〜5/4(月・祝) 相模湖交流センター

MUSIC DAY SERIES『REICH90』
6/20(土)16:00 彩の国さいたま芸術劇場 音楽ホール

問:芸術文化ワークス080-5075-5038 
https://teket.jp/g/qzdfh7x8i6
※公演によりプログラムは異なります。詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。