
数々の国際コンクールで入賞後、幅広く活躍している俊英ヴァイオリニスト、毛利文香は、今年度に全3回のデビュー10周年リサイタル・シリーズを行っている。彼女は高いレベルで安定した技術と知・情を兼備した表現力を持つ真の名手。昨年6月の第1回では師ミハエラ・マルティンとのヴァイオリン二重奏、10月の第2回ではピアノのアブデル・ラーマン・エル=バシャとのデュオと、異なる形態で手腕を発揮してきた。
そして3月の第3回で披露するのはイザイの無伴奏ソナタ全6曲。前2回では共演者との化学反応が傾聴すべき成果をもたらしたが、最後にして遂に“素”の技量が発揮される。イザイのソナタは、ヴァイオリンの大家の作ならではの難技巧と歌心の共存はもとより、異なる奏者6人に献呈された(=各々の個性に沿った)作品だけに極めて多様な表現力が求められる。従って全6曲を一夜で演奏するのは、ある意味バッハの6曲以上に実力を要する。さて毛利がこれらをいかに聴かせるか? ここはぜひ公演に足を運んで、彼女の“今”と示唆される“未来”を体感したい。
文:柴田克彦
(ぶらあぼ2026年3月号より)
毛利文香(ヴァイオリン) デビュー10周年 リサイタル・シリーズ 第3回「無伴奏の挑戦。イザイのソナタ全6曲」
2026.3/25(水)19:00 Hakuju Hall
問:ノヴェレッテ050-6878-5760
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