アルカスSASEBOの『Mプロジェクト』は、年間を通じて1人の作曲家に着目し、異なるステージで同じ作曲家の作品を取り上げる中から、その音楽のみならず、人間像まで掘り下げてゆくオリジナル企画。2年目となる平成29年度は、生誕220年を迎えたシューベルトをテーマに据える。たくさんある魅力的な公演からいくつかご紹介しよう。
まずは、フランスの世界的コントラルト、ナタリー・シュトゥッツマンが、歌曲集「美しき水車小屋の娘」へ対峙。共演するピアノのインゲル・ゼーデルグレンとは、当曲を含む三大歌曲集の録音を発表し、「傑作に新たな側面と、内面的な深みをもたらした」と話題に。名演が期待できよう(5/4)。
そして、カナダ・オタワ国立芸術センター管弦楽団のコンサートマスター、川崎洋介(第1ヴァイオリン)をはじめ、西野ゆか(第2ヴァイオリン)、柳瀬省太(ヴィオラ)、辻本玲(チェロ)と一線楽団の首席級で組織された、座付きの弦楽四重奏団「アルカス・クァルテット」の第7回定期では、ゲストとしてチェロの山崎伸子が加わり、弦楽五重奏曲を取り上げる(7/22)。
また、俊英・山田和樹指揮の横浜シンフォニエッタは、交響曲第7番「未完成」を。ソリスト(曲目未定)には、一昨年の浜松国際ピアノコンクール優勝のアレクサンデル・ガジェヴも登場する(9/17)。
さらに、フルートの貴公子エマニュエル・パユは、ピアノの盟友エリック・ル・サージュを伴い、「“しぼめる花”の主題による序奏と変奏曲」を披露(12/3)。新年には、ウィーン・フィルのコンマス、フォルクハルト・シュトイデも出演、シューベルトの調べを聴かせる(1/17)。
文:笹田和人
(ぶらあぼ 2017年4月号から)
5/4(木・祝) ナタリー・シュトゥッツマン シューベルトを歌う
7/22(土) アルカス・クァルテット 第7回定期演奏会
9/17(日) 山田和樹(指揮) 横浜シンフォニエッタ
12/3(日) エマニュエル・パユ&エリック・ル・サージュ デュオリサイタル
2018.1/17(水) フォルクハルト・シュトイデ ニューイヤーコンサート
アルカスSASEBO
問:アルカスSASEBO 0956-42-1111
※Mプロジェクトの詳細は下記ウェブサイトでご確認ください。
http://www.arkas.or.jp/