折り目正しさとしなやかさが同居する、独自の響きの世界を形づくるピアノの小杉麻梨子。桐朋学園女子高等学校音楽科を首席で卒業後、ロシアの名門・チャイコフスキー記念国立モスクワ音楽院に学び、国際コンクールでの優勝や入賞などの実績を重ねた。
国内のみならず、ロシアやスイスでも、リサイタルを開催。第一線オーケストラとの共演や室内楽でのステージ経験も数多い。特に師の1人である巨匠イェルク・デームスからの信頼は厚く、2006年と08年には、オーストリア・ザルツブルクのミラベル宮で共演。12年に王子ホールで開いたソロ・リサイタルは、高い評価を得た。
今回のリサイタルは、シューベルト最後のピアノ・ソナタである第21番を核に。ここへ、“ピアノの詩人”ショパン特有の憂愁と熱情に満ちた「2つのポロネーズ」(op.26)と、ブラームス最晩年の作であり、無償の愛を捧げたクララ・シューマンへの最後の恋文と言うべき「6つの小品」(op.118)を添える。三者三様の魅力を湛えた佳品から、名手はどんな響きを引き出すのか。
文:笹田和人
(ぶらあぼ 2017年4月号から)
5/9(火)19:00 東京文化会館(小)
問:プロアルテムジケ03-3943-6677
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