ラ・フォル・ジュルネ TOKYO 2025(LFJ)の開催が発表された。会期は2025年5⽉3⽇(⼟•祝)から5⽉5⽇(⽉•祝)の3⽇間、東京国際フォーラムを中心とした⼤⼿町・丸の内・有楽町エリアでおよそ90の有料公演が行われる。 テーマを「Mémoires(メモワール) ― ⾳楽の時空旅⾏」とし、音楽の発展において中心となってきた都市、そしてその時代をフォーカスしたプログラムになるという。フィーチャーする都市について、アーティスティック・ディレクターのルネ・マルタンが次のように紹介している。
ヴェネツィアは、1600年から1750年まで、西洋音楽の発展の中心地でした。この時代にヴェネツィアで生まれた新たな音楽形式の幾つかは、のちの西洋音楽に影響を与えることになります。
18世紀前半には、経済的繁栄を謳歌したロンドンが、バロック音楽・前古典派音楽の一大中心地となり、ドイツ、イタリア、フランスをはじめとするヨーロッパ各地の音楽家たちを引き寄せました。なかでもドイツ出身の作曲家ヘンデルは、40年にわたりロンドンの音楽シーンを牽引しました。
18世紀半ばに楽都として台頭したウィーンは、ハイドンとモーツァルトが古典派の黄金期を築くと、西洋クラシック音楽の真の拠点となります。古典派からロマン派の時代への転換期には、人生の大半をウィーンで過ごしたベートーヴェンが主役となり、そしてその後もウィーンは20世紀初頭まで百花繚乱の楽壇を誇りました。
19、20世紀の転換期には、世界中の優れたアーティストたちが集結した“光の都”ことパリが、西洋クラシック音楽史の主要な舞台となります。パリ万国博覧会が開かれた際には、ドビュッシーら、フランスの作曲家たちはもとより、マーラー、リムスキー=コルサコフといった当時の音楽界のそうそうたる顔ぶれが次々に会場を訪れました。この時代のパリは、とりわけ勉学や演奏/創作活動のために隣国スペインから訪れた音楽家たちにインスピレーションを与えたのです。
いっぽう大西洋の向こうでは、20世紀にニューヨークが世界の音楽シーンの“震源地”の一つとなりました。今日に至るまで数々のジャズ・ミュージシャンを世界に送り出してきたニューヨークは、ミュージカル発祥の地でもあり、驚くべき懐の深さで、つねに限りなく多様な音楽スタイルを受け入れてきました。
アーティスティック・ディレクター ルネ・マルタン
マルタンが注目した都市は世界各地にわたっていて、音楽的繁栄を遂げた時代は各都市それぞれ異なる。これは例年以上にバラエティに富んだプログラムが期待できそうだ。もちろんLFJらしい子ども向けのプログラムや地上広場のコンサート、ワークショップにグルメ&ショッピングなども健在。12⽉下旬に出演者の一部とプログラムが発表されるようなので、続報を楽しみに待ちたい。