日本センチュリー交響楽団は10月20日、大阪府豊中市にて2025-26シーズンラインナップ発表の記者会見を開催し、作曲家・指揮者の久石譲と同楽団理事長の桜井博志(旭酒造株式会社会長)が登壇した。現在久石は、同楽団の首席客演指揮者を務めていて、2025年4月から音楽監督に就任することが改めて発表された。
まず音楽監督就任について久石は「一生に一度は、自分の考えていることを実現できる音楽監督という立場をやってみたいという想いはありました。小編成であるこのオーケストラは素晴らしいアンサンブルを持っている。スポーツカーのようなスピード感や切れ味という持ち味をさらに磨いた先に、いつか世界でもやっていけるかもしれないという可能性を感じられる」と抱負を語り、理事長の桜井は「“世界のセンチュリー”にするために力を貸していただきたい」と期待を寄せた。
定期演奏会は、全8回すべての回で、ベートーヴェンと久石自身の作品を含む1950年代以降の現代曲が組み合わされる。指揮者陣も久石が自ら声をかけて集めたという。「クラシック音楽は古典芸能ではなく、過去から繋がり現在もたくさんの曲が作られていて未来につながっていくもの」「クラシックをリクリエイト(再構築)して魅力を伝え、1人でも多くのお客さまを掴みたい」と力強く語った。
シーズン最初の第289回定期(4/23)は、同楽団ミュージックアドバイザーである秋山和慶が登場。プーランクのバレエ組曲「牝鹿」、新進気鋭のチェリスト 笹沼樹を迎えてのデュティユーのチェロ協奏曲、ベートーヴェンの「運命」を取り上げる。秋山はシーズンファイナルの第296回(2026.2/28)にも出演。2022年第8回仙台国際音楽コンクールにて、史上最年少の17歳で優勝したヴァイオリンの中野りなとコルンゴルトのヴァイオリン協奏曲で共演、ベートーヴェンは交響曲第8番を振る。
久石は第290回(6/13)、第292回(9/26)、第295回(2026.1/17)の3回の定期に登場。いずれの回も久石の作品がプログラミングされ、就任記念演奏会ともいえる第290回では、ベートーヴェンの「田園」と自身作曲の交響曲第2番で音楽監督としての幕開けを飾る。
その他第291回(7/25)では初来日となるブルガリアの指揮者デルヤナ・ラザロワが登場。アメリカ出身でグラミー賞を受賞している作曲家 キャロライン・ショウの「アントラクト」を取り上げる。第294回(11/28)はエストニア国立歌劇場の芸術監督であるアルヴォ・ヴォルマーがジョルジュ・エネスク国際コンクールで優勝した金川真弓とともにブリテンのヴァイオリン協奏曲、ベートーヴェンの第7番を披露する。
また、豊中市立文化芸術センターと共同で年4回開催している「センチュリー豊中名曲シリーズ」では「花鳥風月」をテーマに現首席指揮者の飯森範親をはじめ、出口大地、大友直人、喜古恵理香らが登場し、注目の若手演奏家たちと共演する。このシリーズの他、小さな子どもたちと子育て中の大変なお母さんたちに楽しんでいただけるような「親子のためのコンサート(仮)」や「現代音楽アンサンブルシリーズ(仮)」などを企画している。
さらには久石の音楽監督就任を記念し、スペシャルスポンサーである旭酒造株式会社より、漫画『島耕作』シリーズなどで知られる漫画家の弘兼憲史が手がけた久石のイラストをラベルにした「獺祭」と、旭酒造がアメリカに建設した酒蔵で醸した「獺祭Blue」の作成も発表された。今後、主催演奏会や豊中近辺などでの販売を予定しているという。
すでに国際的な知名度を誇る久石が、日本センチュリー交響楽団とともに目指す“世界”への挑戦に注目していきたい。
日本センチュリー交響楽団
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