大御所・カサドシュ&読響が魅せるフランス管弦楽作品の神髄

左:ジャン=クロード・カサドシュ ©Ugo Ponte
右:田所光之マルセル ©Shigeto Imura

 フランスの名匠ジャン=クロード・カサドシュは、今年の暮れに89歳になる。高名なヴィオラ奏者アンリの孫で、また巨匠ピアニストのロベールの甥でもあるという芸術家の家系に生まれた彼は、デルヴォーやブーレーズに師事、リール国立管弦楽団を一流オーケストラへ育てたことでも知られる。切れ味鋭い演奏が持ち味で、サバサバと豪快な一面もある一方、しっかりとしたバランスから雄大に山場を作り出す。

 その名匠が読響の土曜・日曜マチネーシリーズで、得意のフランス・プログラムを披露する。1曲目は、デュティユー門下で、マエストロの実弟でもある作曲家プローブストによる「群雲」(日本初演)。映画音楽を思わせるゴージャスなサウンドで開始される、フランスの色彩にもあふれた交響詩風の音楽だ。

 ラヴェルのピアノ協奏曲 ト長調では、田所光之マルセルが独奏者として登場。日本人の父とフランス人の母の間に生まれ、さまざまなコンクールで上位入賞を果たす若き逸材だ。得意とするラヴェルで、その技巧と表現力をたっぷりと味わいたい。

 そして、ベルリオーズの「幻想交響曲」。透明感あるフォルムのなかに、それぞれの声部をシャープに描き分け、作曲家によるさまざまな仕掛けを明瞭に聴かせてくれよう。さらに、第4楽章から終楽章にかけては、豪快ながらすっきりとしたサウンドで、壮大なクライマックスを築くこと、間違いなしだ。
文:鈴木淳史
(ぶらあぼ2024年10月号より)

ジャン=クロード・カサドシュ(指揮) 読売日本交響楽団
第271回 土曜マチネーシリーズ

2024.11/23(土・祝)
第271回 日曜マチネーシリーズ
11/24(日)
各日14:00 東京オペラシティ コンサートホール
問:読響チケットセンター0570-00-4390
https://yomikyo.or.jp