日本フィル“伝統の”シベリウス・サウンドを聴こう
「コバケン」の愛称で知られ、演奏会のたびに多くの熱心なファンが客席につめかける指揮者、小林研一郎。かつて音楽監督を、現在は桂冠名誉指揮者を務める日本フィルとはまさに肝胆相照らした、深い信頼関係で結ばれている。その小林が、生誕150年のフィンランドの作曲家シベリウスの代表作をメインとする定期演奏会を指揮する。
まずグリーグのホルベルク組曲は、ノルウェー語の原題にしたがって「ホルベアの時代から」という日本語題でも知られる作品。ノルウェー生まれでデンマークに活躍した18世紀の作家ルズヴィ・ホルベアを讃えて、ホルベアと同時代のバロック音楽のスタイルを意識した、軽快な弦楽合奏曲だ。
モーツァルトのオーボエ協奏曲は21歳の若き天才によるもので、この楽器のために書かれた協奏曲のなかでも最も有名な傑作。日本フィルの誇る若き首席奏者、杉原由希子が小林のもとでどのような演奏を披露するか、ききものである。
そしてメインのシベリウスの交響曲第2番は、この作曲家の名を世界に知らしめるきっかけとなった名作。チャイコフスキーなどロシア音楽の影響をたくみにとりいれつつ、美しい旋律と澄んだ響き、そしてドラマティックに盛りあがる構成で、フィンランド音楽の誇りと高らかな自立心を力強く感じさせる人気作品。創立以来、この作曲家を得意とする伝統をもつ日本フィルを、小林の熱いタクトがどのようにドライヴするか、期待の演奏会だ。
文:山崎浩太郎
(ぶらあぼ + Danza inside 2015年1月号から)
第667回 東京定期演奏会
2015.1/30(金)19:00、1/31(土)14:00 サントリーホール
問:日本フィル・サービスセンター03-5378-5911
http://www.japanphil.or.jp