
8月3日、月曜日の午後の東京オペラシティで、ヴァイオリンとピアノの名曲を集めた「成田達輝 & 萩原麻未 名曲コンサート」が開催される。彼らは天才的名手の夫婦としても注目の存在だが、「初めて話したのは2011年1月のパリで、自分と似た雰囲気を感じたのを覚えています」と成田は振り返る。出会った時から現在まで、音楽面でもお互いをリスペクトする。
萩原「練習で初めて合わせたときから、言葉はなくても何か面白い方向に行きそうな感覚はありました。 舞台でしか生まれ得ないものがあると思い大事にしていたので、それを共有できるのが嬉しかったです」
成田「彼女は本当の音楽を一緒に演奏できる唯一無二の存在で、そんな人に出会えたことがすごく嬉しかったのを覚えています。練習の積み重ねがあっても、本番でその瞬間に生まれたものを大切にする人。音楽家としても人間としても、こんなに素敵な人はなかなかいないとすぐに直感しました」
その二人による今回の「名曲コンサート」。「愛の挨拶」「ツィゴイネルワイゼン」などクラシックの名曲が中心ながら、「バンジョーとフィドル(クロール)」「アメリカの思い出(ヴュータン)」「屋根の上の牡牛(ミヨー)」など演奏機会は少ないが盛り上がること請けあいの楽曲や、万人が知る映画音楽、さらに成田自身の作曲による「八木節変奏曲」まで並ぶ。
萩原「ホールという贅沢な響きの環境で、かつホームコンサートの延長のような雰囲気で弾くのは新鮮で、お客様との距離を近く感じることができます。夫は以前はいわゆる名曲を演奏することは少ないタイプでしたが、(いざ名曲を演奏すると)来てくださるお客様がとても喜んでくれることを体験して、それもアーティストとしての喜びなんだと実感したようです」
成田「子どもが生まれた時期に、自分のアーティストとしての声を確立できたという実感をもてるようになり、様々なことに心を開くことができました。多くの人々に共感してもらえるプログラミングをしていきたいし、作曲にも取り組んでいくつもりです」
両者とも「いわゆる名曲や映画音楽は、お客様と同じ視点に立つことができて、より共感して一体化するような感覚になれる」と実感しているという。鋭敏な天才性に穏やかな温かみも兼ね備える萩原と成田が「家族揃って聴きに来てもらえたら」と語る「名曲集」。老若男女を問わず楽しめるのは間違いないし、何よりもこの二人はいま聴いておく方がいい。特別なマチネになる。
取材・文:林 昌英
(ぶらあぼ2026年8月号より)
アフタヌーン・コンサート・シリーズ 2026-2027
成田達輝&萩原麻未 名曲コンサート
2026.8/3(月)13:30 東京オペラシティ コンサートホール
問 ジャパン・アーツぴあ0570-00-1212
https://www.japanarts.co.jp

林 昌英 Masahide Hayashi
出版社勤務を経て、音楽誌制作と執筆に携わり、現在はフリーライターとして活動。「ぶらあぼ」等の音楽誌、Webメディア、コンサートプログラム等に記事を寄稿。オーケストラと室内楽(主に弦楽四重奏)を中心に執筆・取材を重ねる。40代で桐朋学園大学カレッジ・ディプロマ・コース音楽学専攻に学び、2020年修了、研究テーマはショスタコーヴィチの弦楽四重奏曲。アマチュア弦楽器奏者として、ショスタコーヴィチの交響曲と弦楽四重奏曲の両全曲演奏を達成。

