
右:草 冬香
ファイト・ヘルテンシュタインが、日経ホールで待望のリサイタルを開催する。ドイツ出身、今年41歳を迎え、充実期にあるヴィオラの名手である。昨年6月の台湾フィル来日公演で、ブルッフの二重協奏曲のソリストの代役を急遽務めたが、輝かしい音色と圧巻の技巧を活き活きと披露。代役とは思えぬ痛快な快演で、会場の興奮を誘ったのである。一方、その直後にシューマン・クァルテットの一員(現在は脱退)として舞台に出ると、ソリストオーラを消して影の支え役に徹していた。「ヴィオラモード」の使い分けもこの楽器を愛すればこそ。
今回はヴィオリストとの共演の多いピアニスト草冬香との共演で、無二のプログラムを用意。特にミャスコフスキーのチェロ・ソナタ第2番(編曲版)は超のつくレアな選曲で注目だ。プロコフィエフ「ロメオとジュリエット」ヴィオラ版、ブラームスのヴィオラ・ソナタ第1番という、彼でこそ聴きたい名編曲と名曲も期待が大きい。ヴィオラを愛する人は必聴となる。
文:林 昌英
(ぶらあぼ2026年8月号より)
第574回 日経ミューズサロン
ファイト・ヘルテンシュタイン ヴィオラ・リサイタル 「歌い、語るヴィオラの魅力」
2026.9/11(金)18:30 日経ホール
問 日経公演事務局03-5227-4227
https://art.nikkei.com

林 昌英 Masahide Hayashi
出版社勤務を経て、音楽誌制作と執筆に携わり、現在はフリーライターとして活動。「ぶらあぼ」等の音楽誌、Webメディア、コンサートプログラム等に記事を寄稿。オーケストラと室内楽(主に弦楽四重奏)を中心に執筆・取材を重ねる。40代で桐朋学園大学カレッジ・ディプロマ・コース音楽学専攻に学び、2020年修了、研究テーマはショスタコーヴィチの弦楽四重奏曲。アマチュア弦楽器奏者として、ショスタコーヴィチの交響曲と弦楽四重奏曲の両全曲演奏を達成。

