デヴィット・ザイデル ファゴット・コンサート

ファゴットの豊かな表現力を愉しむ一夜

C)Nancy Horowitz

 「縁の下の力持ち」なんて一体、誰が言ったのだろう。こんなに魅力的で、心揺さぶる音色を紡ぐ楽器だったとは。オーストリアの名手、デヴィット・ザイデルの奏でるファゴットの調べに触れれば、たちまち皆が魂を奪われ、こんな思いを抱くに違いない。
 ザルツブルク出身。地元のモーツァルテウム音大で学び、1998年にウィーン放送交響楽団に入団、2004年には首席奏者に。ウィーン・フィルやミュンヘン・フィルなどへ客演の一方、室内楽でも活躍。グラーツ国立音大教授として、後進の指導にも力を注いでいる。
 ステージではピアノの永原緑に加え、ドイツを拠点に活躍する若手ファゴット奏者の松本優美と共演。ジャズにも通じた故国の鬼才作曲家ヴェルナー・ピルヒナー(1940〜2001)の小品や、サン=サーンスのソナタなど、ファゴットのためのオリジナル作品から、シューベルト「アルペジオーネ・ソナタ」や、モーツァルト「2本のファゴットのためのソナタ」などの編曲ものまで、多彩な作品を披露する。
文:笹田和人
(ぶらあぼ2018年4月号より)

2018.4/14(土)18:00 汐留ホール
問:プロアルテムジケ03-3943-6677 
http://www.proarte.co.jp/