【SACD】ハイドン:交響曲集 Vol.23 /飯森範親&日本センチュリー響

 同指揮者とオーケストラによるハイドン交響曲全集録音も、当盤で23枚目、74曲を数える。ここまで積み重ねると、解釈や演奏法にはいささかのブレもなく、このコンビのハイドン像が確立されている。飯森はヴィブラート控えめのピュアトーンを定着させ、そこに濃密さやスパイスを加えて、鮮烈かつ有機的な好演を実現。推進力ゆたかな快速楽章、清澄で気高さをも湛える緩徐楽章など、安定の高水準だし、各曲に散りばめられた仕掛けやユーモアも自ずと生きる。「火事」フィナーレのホルン高音の高打率(!)はライブとは思えぬほど。各曲の出演者一覧もすばらしいアイディア。
文:林 昌英
(ぶらあぼ2024年5月号より)

【information】
SACD『ハイドン:交響曲集 Vol.23 /飯森範親&日本センチュリー響』

ハイドン:交響曲第29番、同第55番「校長先生」、同第59番「火事」

飯森範親(指揮)
日本センチュリー交響楽団

収録:2022年12月&2023年8月、ザ・シンフォニーホール(ライブ)
オクタヴィア・レコード
OVCL-00841 ¥3850(税込)