Joy of Music シリーズ 田崎悦子 ピアノリサイタル
[第6回(最終回)]Joy of Debussy(前奏曲集第1巻・第2巻[全24曲])

シリーズ最終回は、ドビュッシーの楽しさを

 田崎悦子は、日本人の海外留学が非常に難しい時代に単身ニューヨークに渡り、ゲオルク・ショルティや小澤征爾といった世界的指揮者たちにその演奏を惚れこまれたピアニストである。30年におよぶニューヨークでの研鑽を経て帰国後は、意欲的なプログラムによる演奏活動や教育活動を行っている。楽曲の本質を聴き手へと届けてくれる彼女の演奏にこれまで何度も接してきたが、そのたびに作曲家との対話を見ているかのような体験をした。傘寿を過ぎてもなおその技術と音楽性、そして情熱が力強く進化し続けている田崎は、2021年から東京文化会館でのリサイタルシリーズ「Joy of Music」を開始。

 第6回にして最終回となる今回のテーマは「Joy of Debussy」。これまでバッハやブラームス、バルトークといった作曲家の作品が主に演奏されてきたが、彼女は2012年に「前奏曲集」の第1巻を録音しており、その精緻な技術と色彩豊かな演奏が高い評価を受けている。ドビュッシーも重要なレパートリーだといえるだろう。研ぎ澄まされた技術、作品に対するリスペクトから生まれる読み込みの深さは、ドビュッシーのように音によって色や香り、情景を描き出す作品と非常に相性がいいのは当然である。今回は、より洗練された技法と和声によって作り上げられた第2巻も演奏されるため、さらに深く田崎が創り出す音世界に触れることができるはずだ。
文:長井進之介
(ぶらあぼ2024年5月号より)

2024.6/2(日)14:00 東京文化会館(小)
問:カメラータ・トウキョウ03-5790-5560 
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