ルネサンス、バロック、モダン―3種のサウンドを堪能
知的かつ熱い血の通った演奏が、国際的な注目を集めるオルガンの名手・椎名雄一郎。時代様式ごとに構造やピッチ、調律の異なる3種のオルガンを弾き分けて、バッハによる“大”と“小”、ト短調による2つの「フーガ」を軸に、大作曲家たちのオルガン音楽の脈々たる潮流を辿るステージ「バッハ・オルガン紀行」を開く。
東京芸術劇場に設置された仏ガルニエ社製オルガンは、筐体を回転し、ルネサンス、バロック、モダンの各オルガンの使い分けが可能。「見て聴いて、楽しい楽器。この魅力を最大限に引き出す名曲を通じて、オルガンの魅力を再発見していただければ」と椎名は言う。
ステージでは、まず、バッハの先人たちの作品をルネサンスのオルガンで。そして、バロックの楽器により、北ドイツ楽派の巨人ブクステフーデや、その影響を感じさせる「幻想曲とフーガ 『大フーガ』BWV542」ほかバッハの傑作を。さらに、あえてモダン楽器を使い、「小フーガ BWV578」などバッハの作品、さらに20世紀のデュリュフレ編曲による「主よ人の望みの喜びよ」も取り上げ、演奏史自体を俯瞰する。
文:寺西 肇
(ぶらあぼ2018年4月号より)
2018.4/14(土)14:30
東京芸術劇場 コンサートホール
問:アレグロミュージック03-5216-7131
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