節目を迎える実力派クァルテットが届けるモダンなパリの香り
オリンピックイヤーのパリから、結成20周年となるヴォーチェ弦楽四重奏団が待望の来日を果たし、得意とするフランス音楽プログラムでツアーを開催する。パリ国立高等音楽院で学んだ4人が創始した同楽団は、ジュネーヴ、ボルドーなどの主要コンクールで入賞後、さまざまな巨匠たちとの共演を重ね、世界各地で活発な演奏活動を展開。2008年の初来日以来、日本のファンにもその洗練されたアンサンブルの魅力を発信してきた。
今回のツアーのプログラムはパリ五輪イヤーにふさわしく、フランス近代音楽をメインに据えたフレンチ・コレクションである。6月12日、京都コンサートホール アンサンブルホールムラタでの演奏会では、ドビュッシー、ラヴェルの両作曲家が唯一書いた弦楽四重奏曲が選曲された。どちらも音色の魅力と端正な構成美に彩られた名曲だけに、ヴォーチェ弦楽四重奏団がどのように表現するのか、楽しみだ。
そして透明な美声で中世・ルネサンスから現代まで幅広いレパートリーを手掛けるメゾソプラノの波多野睦美が客演し、1978年生まれの作曲家イヴ・バルメール編曲のドビュッシーの歌曲〈抒情的散文〉より、声と弦楽四重奏版が歌われる。バルメール自身の作品「風に舞う断片」もプログラミングされており、20世紀から現代までのパリの息吹を感じられる洒脱なコンサートになるだろう。この他にも全国各地で公演を行い、東京ではサントリーホールのチェンバーミュージック・ガーデンに登場、フィナーレ(6/16、完売)では吉野直子(ハープ)らと共演する。
文:伊藤制子
(ぶらあぼ2024年5月号より)
2024.6/12(水)19:00 京都コンサートホール アンサンブルホールムラタ
問:テレビマンユニオン03-6418-8617
京都コンサートホール075-711-3231
https://www.tvumd.com
他公演
2024.6/7(金) サントリーホール ブルーローズ(小)(0570-55-0017)
6/8(土) 名古屋/Halle Runde(芸文プレイガイド052-972-0430)
6/11(火) りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館 コンサートホール(025-224-5521)
6/13(木) 横浜/鶴見区民文化センター サルビアホール(045-511-5711)
6/14(金) 武蔵野市民文化会館(小)(完売)
※公演によりプログラムは異なります。詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。