山本英助(トランペット)

欧州仕込みの妙技を壮麗な響きと共に!

C)S.NISHIKAWA

 南西ドイツ・フィルの首席トランペット奏者を15年間務めた後、国立音大の教授及びソロ活動を続ける山本英助が、パイプオルガン+金管バンドとの“響宴”を行う。会場の東京芸術劇場のオルガンを回転させて使うなど、通常のリサイタルとはひと味違った、興味津々の内容だ。
「第1部はルネサンス及びバロック、第2部はモダンの各オルガンと共演し、第3部はそこに金管バンドを加えて大きな響きを作るという構成。私は5種の楽器を吹きますし、一夜にして3種のオルガンの音色を楽しめます」
 ソロ活動は長年オルガンとのコラボが中心。今回の奏者・小林英之とも「約30年前から数限りなく」共演している。
「トランペットとオルガンは響きが調和するので好きですね。それにドイツで教会での演奏機会が多かったこともあって、この組み合わせがメインになりました。オルガン界の重鎮である小林さんは、トランペットを引き立てる音色作りが絶妙な方。また今回は休憩中にパイプオルガンが回転する様子を見せるのも面白いと思います」
 第1部はバロックの作品。
「まずパーセルの『組曲』で、昔のイギリスらしい明るい響き、次にブクステフーデの『来たれ、精霊、主なる神』で、柔らかなコルネットによる敬虔な旋律、そして『水上の音楽』中の5曲を編曲したヘンデルの『組曲』で、衆知のフレーズとバロックの響きをお楽しみいただけます」
 第2部は、20世紀に書かれたエベンの「窓」。この曲は小林とCD録音も行っている。
「エルサレムのユダヤ教会内にあるシャガールのステンドグラスの印象に基づいた、約25分の作品。窓に描かれた12の絵のイメージが青緑赤金の4色に分けて音楽化されています。様々な奏法や意図的なテンポのズレ、即興の場面、有名な宗教的旋律等が含まれたモダンな曲で、教会の雰囲気、光のニュアンスや、シャガールの絵の多彩な表現を満喫できます」
 第3部は、フチークの行進曲に始まり、サリヴァンの「失われた和音」を経て、エルガーの「威風堂々第1番」で大団円を迎える。
「響きが似ているといわれる金管バンドとオルガンが実際に融合するとどうなるか? が聴きどころ。サリヴァン作品(山本編曲)の両者との初演奏も注目点となり、『威風堂々』の壮麗な響きはフィナーレとしての効果抜群です」
 なお、共演する国立音楽大学金管バンドは、「立ち上げから関わり、ハイレベルで海外でも評価が高い」との由。
 彼はトランペットの魅力を「音色が華やかで楽団の音を左右すること。責任の重さが辛くも楽しくもある」と語る。今回は、その責任を欧州で果たしてきた凄腕を、オルガン・ファンはじめ幅広い層が楽しめる絶好機だ。
取材・文:柴田克彦
(ぶらあぼ2018年3月号より)

山本英助 トランペットとパイプオルガンの響宴
2018.3/14(水)19:00 東京芸術劇場 コンサートホール
問:プロアルテムジケ03-3943-6677 
http://www.proarte.co.jp/