曽根麻矢子(チェンバロ) J.S.バッハ連続演奏会《BWV》Ⅱ 平均律クラヴィーア曲集 第1巻

高度な芸術性を湛えた至高の24曲と向き合う

(c)Yuji Hori

 チェンバリストの曽根麻矢子が半年に一度、5年にわたってバッハの鍵盤楽器の佳品を弾くシリーズ。9月の第2弾で「平均律クラヴィーア曲集第1巻」全曲を取り上げる。チェンバロは「自分自身」、音楽は「生きる喜び」と語る名手。「いくら追いかけても逃げてゆく存在だが、追いかけることに意味がある」という大作曲家に再び対峙する。

 シリーズは初回と最終回に「ゴルトベルク変奏曲」を置き、全10回で主要作品を網羅する。コロナ禍を受け、予定より半年遅れとなる今年3月のスタートに。「これは“じっくりとバッハに集中しなさい”との天の啓示」と曽根。その言葉通り、初回の「ゴルトベルク変奏曲」では、集中力の途切れぬ熱演を披露した。

 そして、「バッハ(作品の演奏)は詰めてはやれない」と、半年あいだを置いての第2回。作曲家が30代半ばの頃に纏めた「平均律クラヴィーア曲集第1巻」を弾く。自由な書法で変化に富んだ前奏曲と高度な対位法の技法が展開されるフーガで1セット、すべての調で書かれた全24曲。曽根は前回に続き、現代の名工デヴィッド・レイが製作したフレンチの愛器で挑む。

 「自分の人生の中で、このようなタイミングに命がけの仕事をさせていただけるのは強運なこと。周囲に感謝してバッハに向き合い、チェンバロを通してすべてを捧げる決意」と綴っている曽根。そして、「5年という時間での“変化”を、皆さんと共有できたら…」とも。すでに始まっている、そんな彼女の“変容”をぜひ体感したい。
文:寺西 肇
(ぶらあぼ2021年9月号より)

2021.9/22(水)18:30 Hakuju Hall
問:チケットスペース03-3234-9999 
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