【CD】ECHOES OF LIFE エコーズ・オヴ・ライフ/アリス=紗良・オット

 ショパンの24の前奏曲を軸に現代作品を間奏曲として置き、人生の各段階を内的アプローチで語る。自我が芽生える、鮮烈ながらミステリアスな瞬間を示すようなトリスターノの曲で幕開け。ショパンの前奏曲は、そこはかとない暗さを感じる第2番や第4番はじめ、この流れの中ならではのトーンで奏される。彼女のアイデンティティに悩んだ頃を表現する武満徹や、病の告知に苦しんだ頃に重ねるペルトは、深く澄んだ音で心に語りかけてくる。フィナーレは希望をはらんだ自作曲。特別なクリエイティヴィティを持つアリス=紗良・オットにしか創れない、力強さを感じるアルバム。
文:高坂はる香
(ぶらあぼ2021年9月号より)

【information】
CD『ECHOES OF LIFE エコーズ・オヴ・ライフ/アリス=紗良・オット』

トリスターノ:イン・ザ・ビギニング・ワズ/ショパン:24の前奏曲/リゲティ:ムジカ・リチェルカータ第1曲/武満徹:リタニ−マイケル・ヴァイナーの追憶に−第1曲/ペルト:アリーナのために/アリス=紗良・オット:ララバイ・トゥ・エターニティ 他

アリス=紗良・オット(ピアノ)

ユニバーサル ミュージック
UCCG-1885 ¥3080(税込)[通常盤]
UCCG-40130(CD+DVD) ¥3850(税込)[初回限定盤]