東京二期会《蝶々夫人》ゲネプロ・レポートvol.2

 栗山昌良演出による純日本的な舞台は、回を重ねて成熟度を増し、大道具や小道具とその配置も実にキメが細かい。これは、照明効果の美しさと相まって、日本人に違和感を抱かせない《蝶々夫人》の名舞台であろう。歌手は全員日本の実力者たち。ダブル・キャストそれぞれ個性が違っていて、双方観ても楽しめそうだ。蝶々夫人役の腰越満美と木下美穂子は、いずれも渾身の演唱ぶり。他では、「スズキといえば…」の永井和子の健在ぶりが嬉しいし、個では樋口達哉のピンカートンが光っている。
 オーケストラが重要なプッチーニの作品を、東京都交響楽団の演奏で聴けるのも貴重な楽しみ。そして特筆すべきは指揮のダニエーレ・ルスティオーニ。「27歳でミラノ・スカラ座にデビューしたイタリア・オペラ界のプリンス」との触れ込みだが、まずは確信に充ちた指揮ぶりに驚かされる。キビキビとした運びで弛緩させることなく全曲を通し切る手腕は素晴らしく、ただでさえ絶好調の都響がいつにも増してしなやかな音を奏でているのが印象的。特に随所でみせる甘美な弦の色気が、引き締まった全体の中で効果的なアクセントとなっている。これはバッティストゥーニの再来か? 今後を見守りたい。
 今回の双方は、日本人による舞台(演出&歌手)とイタリア人による音楽(作曲&指揮)の幸せな融合が成された上演といえるだろう。

(文:柴田克彦  撮影:M.Terashi/TokyoMDE)
*写真は22日に行われた木下美穂子組から

東京二期会オペラ劇場
《蝶々夫人》(イタリア語・全3幕)
<日本語字幕付原語上演>

指揮:ダニエーレ・ルスティオーニ/演出:栗山昌良

【23日・26日】
蝶々夫人:腰越満美
スズキ:永井和子
ケート:佐々木弐奈
ピンカートン:水船桂太郎
シャープレス:福島明也
ゴロー:牧川修一
ヤマドリ:畠山茂
ボンゾ:峰茂樹
神官:馬場眞二

【24日・27日】
蝶々夫人:木下美穂子
スズキ:小林由佳
ケート:谷原めぐみ
ピンカートン:樋口達哉
シャープレス:泉良平
ゴロー:栗原剛
ヤマドリ:鹿野由之
ボンゾ:佐藤泰弘
神官:渥美史生

合唱:二期会合唱団
管弦楽:東京都交響楽団

2014年4月23日(水)18:30 24日(木)14:00 26日(土)14:00 27日(日)14:00
東京文化会館 大ホール
上演予定時間:約2時間40分(休憩1回を含む)

東京二期会オペラ劇場 http://www.nikikai.net

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